厚生労働省が発表した「子どもの貧困率」は16・3%。実に6人に1人が貧困状態にあるという。
今回のテーマはズバリ、「なぜ子どもの貧困は起こるのか」――。
ゲストの徳丸ゆき子さん(43)は、「大阪子どもの貧困アクショングループCPAO」代表。1970年大阪市生まれ。NPO法人で不登校や引きこもり支援に従事した後、2002年から国際協力NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」に所属。11年3月以降は東北の子どもたちの支援をする一方、子どもの貧困問題にかかわり、13年7月に有志でCPAOを立ち上げた。
CPAO(しーぱお)とは、C=Child・子ども、PAO=包む・家のこと。

子どもの貧困というが、子どもは親を選べない。つまり、子どもが育っている世帯の貧困であり、親たちの貧困のこと。なかでも深刻なのが「ひとり親世帯」、とりわけシングルマザーである。
CPAOを立ち上げた徳丸さんらが最初にやったことはシングルマザーの現状調査。その数は100人を超えた。
「シングルマザーのほとんどが何らかの暴力――DV、子どもの頃からの虐待を受けているケースが多く、働いても生活保護以下になるワーキングプア状態になる人も少なくありません。ひとり親であることで、職場でセクハラやパワハラを受けることもあり、仕事を転々とするなどして貧困になるケースもあります。子どもと一緒にいる時間も限られており、親が身体を壊すケースもありました」
シングルマザーになった原因を尋ねると、徳丸さんは「結婚したら相手にDV被害を受けたというパターンが多い」という。
「暴力夫から脱出してそれで終わりではない。夫に見つからないように生活保護などを受けるものの、心身とも傷ついた状態。夫に見つけられることの不安もあり、日常生活を送れるまでに3~5年かかり、社会生活が可能になるまでに5~7年、就労が可能になるまでには7~10年かかります。子どもたちにとっても面前で親同士のDVを見せられ、そのストレスは大変です。幼少期は我慢しても、自分のせいでと非行に走る例や、母親に対して暴力をふるう例もあります」
日本の子どもの場合、路上で物乞いをするような絶対的貧困ではないが、当たり前の生活ができない相対的貧困であるという。
「塾に行けないどころか、みんながちゃんとした靴を履いているのに、それもない。季節に合わない服を着ざるを得ない。それがいじめにつながり、自分を責めることにもなり、自分の将来に夢や希望を持つどころではありません。子どもたちの貧困をなくす策が必要なのです」


子どもの貧困に対して、政府はどんな対策をしているのか。
「メニューはあっても予算なしです。公的資金の投入を子どもたちに入れようとしない」という。
政府が何ら対策を講じてこなかった理由は、「支援を求めている子どもがいても、それは親の責任」だと責任転嫁してきたのではないか。
「教育費の公的支出が先進国最低水準です。せめて、義務教育を完全に無償化すべきです。給食費や教材費、制服代、修学旅行の積立金などがかかるお金が多いですから」
さらに徳丸さんは、CPAOの活動に触れ、「よりしんどい状況に置かれている子どもたちに『まずは、ごはん!』からつながり、少しずつ関係づくりを行い、困っている親や子どもたちがいろいろ語れるように関係を作り、その語りから得た情報を元に必要な支援につなげるのです」。
番組の中で、徳丸さんは自らもシングルマザーであることを打ち明け、CPAOを立ち上げた理由について、「2010年に大阪市西区のマンションで3歳の女の子と1歳9カ月の男の子が母親の育児放棄によって餓死した二児放置死事件と、12年に大阪市北区のマンションの部屋で母子の遺体が見つかった母子変死事件があり、他人事とは思えなかったのです」と語ってくれた。