北朝鮮情勢が緊迫化する中で、画期的な判決が下された。
高校の授業料無償化の対象から朝鮮学校を外した国の処分について、大阪地裁が7月28日、この処分を違法とする判決を言い渡したのだ。
「日本で学ぶすべての生徒に公平に教育の機会を与える」という制度の原点に立ち、北朝鮮と関係が深いことを理由に朝鮮学校だけを除外してきた安倍政権の姿勢を厳しく問う判決だった。
第74回のテーマは「高校無償化の意義を問う――多文化・他民族共生社会を目指して」と題して、「朝鮮高校無償化裁判大阪弁護団」の弁護団長の丹羽雅雄弁護士に裁判の意義について語っていただいた。

高校の授業料無償化は民主党政権下で進められていたが、第2次安倍政権が2013年、北朝鮮や朝鮮総連との関係が深いことを理由に朝鮮学校を対象から外した。その処分の取り消しなどを求め、朝鮮学校の生徒や学校法人が大阪、東京、広島、名古屋、福岡の5地裁に提訴した。
大阪地裁判決について、丹羽さんは「戦後初めて、司法が良心と法の支配に基づいて安倍政権の差別行政をただし、国に対して、学校法人『大阪朝鮮学園』への指定を義務付け、生徒たちに就学支援金を支給するよう命じた画期的な判決であり、民族教育の重要な意義を認めた歴史的判決だった」と振り返った。
一方、初判断となった7月19日の広島地裁では学校法人「広島朝鮮学園」と元生徒ら110人が処分の取り消しと慰謝料を求めたが、「朝鮮学校を対象外とした文部科学相の判断に裁量権の逸脱、乱用があるとは認められてない」と棄却された。
その違いについて、丹羽さんは「大阪の場合は行政訴訟で、判断の立ち位置は民族教育の歴史的経緯や重要な意義という横軸に置いている。それに対し、広島は行政訴訟と国賠請求。その立ち位置も北朝鮮とその影響下にある朝鮮総連、朝鮮総連の影響下にある朝鮮学校という縦軸に置いている」と指摘した。
最後に丹羽さんは「I have a dream」と切り出し、キング牧師の夢を重ね、「日本の子も朝鮮の子も、いろいろな子どもたちを含めて、共に違いを認め、共に生きていける社会をつくること」と語った。
9月13日の東京地裁判決は、原告側である朝鮮学校側が敗訴。だが、安倍政権の差別政策との闘いはまだまだ続く。見守りたい。(矢野宏)