冨田先生とは兵庫県の平和講演会で、先生が核兵器廃絶に向けた世界の展望を、私がシリア内戦の現状と今後の予想される展開を、語り合った間柄です。冨田先生は、いわゆる「橋下現象」、つまり大阪における維新政治、特に大阪都構想の住民投票を詳細に分析された方で、ぜひ一度ゲストにお呼びしたいと思っていた方でした。

最初にお聞きしたのは米国における「トランプ現象」です。冨田先生は、1%と99%、つまり格差が極大まで拡大したアメリカ社会の矛盾が、トランプ勝利につながった、と分析されました。
アメリカでは1%、つまり一握りの超富裕層が全体の富の90%を握るという現実があります。トランプは、大統領選挙で99%の側に立つ「フリ」をしました。一方、ヒラリークリントンは1%側という実態が暴露され、「どちらの候補も嫌だ」という世論になったのです。その結果、ラストベルトと言われる五大湖周辺の本来は民主党支持者の労働者層が、選挙に行かなかった。これがトランプを浮上させ、激戦集を制すことができて大統領への道につながったのです。
「もし民主党の予備選でサンダースが勝っていたら、本戦でもサンダースが勝っただろう」。
どういうことか? サンダース候補こそ真の99%の代表だったので、トランプ対サンダースになれば、ラストベルトの労働者は棄権せず、サンダースに投票し、激戦州をサンダースが取るので、全く違った結果となっただろうということです。
トランプ勝利の要因の一つにメディアが挙げられます。「メキシコに壁を作れ!」という暴言は、テレビ的には面白いので、大々的に報道されます。テレビに露出するトランプ。「言ってることはメチャクチャだけど面白いな」「えっ、そんな差別的なことを言ってもいいの?」など、注目の的になって、結果、指示が増えるということに。
これとよく似た現象が日本にも。
そう、日本の、特に大阪の「橋下現象」がそっくりの構図です。
先生は「トランプは計算して暴言を吐いている」と指摘されました。「メキシコに壁を作れ」などの発言は、たまたま出たものではなく、おそらく広告代理店、シナリオライターが考えたもの。「こんなことを言えば、受けるだろう」「タブーになってきた、このことを指摘すれば、支持率が上がるだろう」と綿密なマーケティングなどを通じて、「作られた暴言」だということです。
この点も大阪の「橋下現象」、東京の「石原現象」とよく似ています。

番組後半では、「核兵器廃絶への展望」について語り合いました。
オーストリアやメキシコが提案した「核兵器禁止条約」に、日本が棄権ではなく「反対」しました。安倍内閣がアメリカ言いなりになって、「反対」をするという情けない内閣であることが指摘されました。
しかし世界の大半が「核兵器廃絶を求めた」事実は素晴らしいことで、今後もこの動きが世界のトレンドになるでしょう。
アメリカのオバマ政権が、「核兵器の先制不使用」を言い出したのも、理由があります。それは「テロリストが核を持つ恐怖」です。
キッシンジャー元国務長官や、ダレス元国防長官などが「先制不使用」を言い出しています。かつての米ソ冷戦では、核兵器は「抑止力のために必要」という見解でした。
しかしソ連が崩壊し、「テロとの戦い」となった今では、対戦相手はテロリストなので、常識は通用しません。つまり抑止力のために必要、というのは古い考え方で、「廃絶しなければ危ない」が、21世紀の現代に生きる私たちの知見なのです。世界の多くの国々が、核廃絶を求めているのに、安倍内閣は未だに抑止力論にとらわれている。つまり何数もの周回遅れの考え方で、平和のための運動の足を引っ張っているのです。

Light Up ジャーナルは、今中先生に「ヨーロッパの安全な原発」についてお聞きしました。結論は確かにヨーロッパの新型原発は日本のものより「安全」だが、やはり壊れない機械はない。稼働させれば危険です。この新型原発はフランスのアレバが進めているもので、建設費が膨大なものとなり、経済的に破綻しているものですが、それをパートナーの三菱が支えているという構図。つまり日本企業が、先の見えない欧米の原発企業を日本のカネで支えているという構図があるということのようです。

今月も、「硬い政治のテーマ」でしたが、絶対に無関心ではいられないテーマです。ぜひ聞いてみてください。