電話インタビュー:今中哲二氏(京都大学原子炉実験所研究員)
聞き手:西谷 文和

西谷 文和:
今日は今中哲二さんと電話が繋がっています。今中さん、宜しくお願いします。

今中 哲二:
はい、こんにちは。

西谷 文和:
実は私、今年の5月28日にTBS系列の「映像17」って(いう番組が)あってですね、これ日曜日の深夜1時なんですね、ほとんど誰も観ていないような時間帯に素晴らしい番組があったんですね。

今中 哲二:
はい、あの番組は時々面白いのやってますよ。チェックされたらいいと思います。

西谷 文和:
はい、その時の放送が「全村避難6年・福島飯館村と科学者の記録」というタイトルでなんと、今電話でお話ししている今中先生が特集されたという、こういうことですよね。

今中 哲二:
正直私どもがやってきたことをずっと、MBSのディレクターの津村さんが、、。

西谷 文和:
はい、津村さんがね。津村さんというのは昔、小出先生とか今中先生とか出ている番組を作って関西電力が激怒して。

今中 哲二:
はい。あれは「映像08」ですから福島の事故が起きる前です。

西谷 文和:
はい、あの顛末は私も取材して、、。

今中 哲二:
えらく関西電力さんがお怒りになったと。

西谷 文和:
お怒りになって、MBSに対して社員を呼びつけて原発がいかに安全かレクチャーまでしたと。

今中 哲二:
昔の話ですけどね。

西谷 文和:
その原発が壊れちゃったわけですけれども。今中先生、福島県飯館村にずっと、、。

今中 哲二:
そうですね、飯館村を中心にずっと測定したり地元で人とお付き合いして汚染のことを勉強したりしてきました。

西谷 文和:
原発事故から何日目に入られたんですか、最初は。

今中 哲二:
えっとね、2週間ですね、2週間後です。

西谷 文和:
2週間と言ったらほとんどの方は逃げられていたわけでしょう?

今中 哲二:
いや、案外飯館村はずっと人が普通に住んでいたわけですよね。避難指示が出たのは20㎞までなんですよね。ところが飯館村っていうのは大体30㎞〜40㎞北西にあって、もともと原発とは関係ない、いわゆる阿武隈山地の山の上で農業を中心にしていた村なんですよね。昔は大変な生活だったと思うんですよ、山の上で。それが最近は道路とかできて、自分たちの肉牛をやり始めて飯館ブランドの牛なんかも売れるようになって、これから農業と(畜産業で)ますますやるぞといったところで空から放射能が降ってきたと。そして突然みんな家に住めなくなって、ずっと6年間避難していて今年の3月の末に一応大部分、帰宅困難地域である長泥地区以外は避難指示解除になりましたけれども、飯館村全体の放射線量というのは普通のところに比べて10倍〜20倍ありますから、、

西谷 文和:
あっ、10倍〜20倍あるんですか、まだ。

今中 哲二:
はい、いわゆる除染をした後でもそれぐらいあります。ですからそういうところに帰るということはそれなりの被曝を覚悟しなくてはならないということで、そしてセシウムの寿命を考えるとやっぱり50年〜100年は汚染は続きますよと。

西谷 文和:
だから理論的には30年立ってようやく半分ですから、何年ぐらい経たないとダメなんですか?

今中 哲二:
ドキュメンタリーでも言いましたけども、100年経ったら1/10に落ちるんですよね。そして次の100年が経ったら1/10の1/10で1/100、だから200年で1/100、そして300年経ったら1/1000になりますと。

西谷 文和:
300年ですか。

今中 哲二:
はい、ですからものすごい長いレンジでものを考えないと放射能汚染には対応できませんよと。

西谷 文和:
ドキュメンタリーで前やってましたけど、飯館村はほとんど高齢者であのドキュメンタリーで、道の駅とかの公共工事が急ピッチで進められていると。

今中 哲二:
ものすごいですね、はい。

西谷 文和:
これは同じことをずっとやっている、、。

今中 哲二:
はい、私からしたら原発事故の影響は綺麗になって村や町は復興しましたよというアピールをしたいんだと思いますけども。

西谷 文和:
まあ穿った見方ですけど、そうやってお金を落とすことで不満をそらしているという風にも思えるんですけれども。

今中 哲二:
はい。私自身は避難指示解除そのものに反対ではないんですよ。お年寄りなんかがずっと狭い仮設住宅で暮らしてらっしゃるのを見ていますから。

西谷 文和:
やっぱり故郷に戻りたいですもんね。

今中 哲二:
そうですね、帰りたいという人は返してあげてそれなりのインフラをきちんと行政は整備する必要があると思いますし。

西谷 文和:
整備する必要があると、責任もあると。

今中 哲二:
後ですね、3月末に避難指示解除がされたんですけれどもそれの一番の問題は帰りたくない人まで無理やり返そうとしていると。

西谷 文和:
この前もそうおっしゃっていましたね。

今中 哲二:
そこの問題だと思います。

西谷 文和:
だからケースバイケースでもっと寄り添ってそれぞれのケース、帰りたくない人のケア、帰りたい人のケア、そういうことをしなければいけない。

今中 哲二:
ですから飯館村なら飯館村に戻りますと余計な被曝をするというのは確かですから、やっぱりそれを選ぶのはそれぞれの人の判断だと思うんですよね。それで、飯館村なり避難している人、または福島の汚染地域に住んでいる人というのは被害者なんですよね。被害者の人たちの選択をやっぱり被害を与えた側、東京電力と政府はきちんと面倒を見ていく必要があるということだと思います。

西谷 文和:
きめ細かくもっと寄り添わないといけないけれども、なんかコンパスで丸描いてっていうのはダメですよね。

今中 哲二:
はい、私なんかが飯館村の外から眺めてると、飯館村は人口が大体6000人ですけれどもあそこで使われている除染の費用だけで3千億、4千億のお金がかかっているんですよね。

西谷 文和:
すごいお金ですよ。

今中 哲二:
それに対して実際に戻る人が今の話だったら数パーセントですか。もっとうまいお金の使い方があるんではないかなというのを常々思っています。

西谷 文和:
はい、よくわかりました。今中さん、どうもありがとうございました。

今中 哲二:
はい、どうも。