電話インタビュー:今中哲二氏(京都大学原子炉実験所研究員)
聞き手:西谷文和


西谷文和:
今日は、今中哲二さんと電話が繋がっております。
今中さん、よろしくお願いを致します。

今中哲二さん:
こちらこそよろしく。

西谷:
今中さん、今日のテーマはですね、
この高浜原発再稼働と四国の伊方原発差し止め、この裁判が却下された。
これ大変酷い判決が出ちゃったんですが。

今中さん:
酷いというか、なんか昔にだんだん戻りつつあるという印象がありますね。

西谷:
まずですね、ちょっと伊方の方から、そしたら聞きたいんですが、
伊方原発はそもそも今中さん達もこれ裁判やっておられましたよねえ。

今中さん:
そうですね。はい。

西谷:
あの時は、もちろん原告である住民側が一生懸命説明して、
国はもうしどろもどろになったのに、国が勝っちゃうわけですねえ。

今中さん:
もう何て言うんですかね、
最初から結論ありきのような裁判だったと思いますよ。当時は。

西谷:
あの当時と言いますと、1900何年ぐらい?
70年?
80年?

今中さん:
78年ぐらいですかね。
それであの時に、「事故なんか起きませんよ」と判決が出た途端に、
アメリカのスリーマイル事故が起きたんですよ。

西谷:
スリーマイル、79年ですかねえ。

今中さん:
78年が判決だったと思いますよ。

西谷:
そんな伊方原発差し止め却下と、それと関西電力ですねえ。
この高浜原発の3、4号機の運転差し止め、これが画期的な判決が大津で出た。

今中さん:
時代が変わったのかなと思ってたんですが。はい。

西谷:
そうですよねえ。
だから期待したんですけど、やっぱり時代は変わってなかったということでしょうか?

今中さん:
裁判所は、やっぱり何となくまた政府なり国の方に顔が向いてきたんだなあという気がしますねえ。
新規制基準が確かに福島の前に比べて、いろいろ細かく厳しくなってることは確かですけども、
まさに規制委員長の田中さんがおっしゃるように、新規制基準をクリアしたからと言って安全なわけじゃないんですよね。

西谷:
そうですよね。

今中さん:
はい。これも、いつも言ってますけども、
例えば飛行機とか自動車とか、それぞれ安全基準はありますよね?

西谷:
はい。

今中さん:
飛行機が安全基準を満たしたからといって、安全なわけじゃないですよ。

西谷:
そうですよね。

今中さん:
はい。ですから、それなりの危険を我々が社会として受け入れるということなんですよね。
それ車でもそうです。

西谷:
そうですね。
車がないと不便ですし、飛行機ないと。

今中さん:
ですから、それを使うことのメリット・利益というものが、
要するに社会的なコンセンサスとしてあるのが前提なんですよ。

西谷:
だから、飛行機は落ちるかもしれないけど、飛ぶわけですよねえ。

今中さん:
はい。

西谷:
でも、原発の場合はメリットないですよね。

今中さん:
少なくとも私、一般の人にはないんですよね。

西谷:
もう一回、伊方の方にちょっと話がいきますけどね。
この日本で最も動かしてはいけない原発と呼ばれていたそうなんですが。伊方原発。

今中さん:
はい。目の前が中央構造線ですからね。

西谷:
ねえ。これ、やっぱりこの熊本で地震が起こって、その断層が近いですから。
これ、ほんで逃げ場がないでしょ。佐多岬の端の方に住んでる人は。

今中さん:
そうですね。はい。

西谷:
これ、住民の避難もできない。
そこも棚上げにして、これいいんですかね?

今中さん:
はい。それは良くないですよ。

西谷:
良くないですよね。

今中さん:
なんか、そんな危ない物まで、事故を起こしたら大変なことになるものまで使って、
電気を必要とするのかどうなのか。

西谷:
ここ結論。

今中さん:
そこの問題だと思いますよ。やっぱり。

西谷:
そうですよね。

今中さん:
はい。

西谷:
だから、確信は原発を止めてしまうと原発の資産がゼロになっちゃって、
この総括原価方式で電気代決めてるから、
その関電も四国電力も経営がやっていけないから、無理やりでも。

今中さん:
経営というか、ちょっと私その辺、東芝の件もあって調べたんですよ。
私、だから経済の話知りませんけども、関西電力さんの貸借対照表。
借金とライセンスどれくらいあるかって言った時にね、
財産が、確か7兆4000億だったかな。

西谷:
7兆もあるんですね。

今中さん:
はい。それでね負債、いろんな負債ありますよね。
それが6兆2000億だったのかな。

西谷:
黒字ですよね。はい。

今中さん:
それで純資産、要するにプラスからマイナスにいったものが1兆2000億です。

西谷:
結構ありますね。

今中さん:
ええ。それで、原発も資産になってるんですよね。

西谷:
そうそう。原発も資産。はい。

今中さん:
原発と関電さんが抑えてる核燃料等が資産になって、それが9000億でした。

西谷:
そうなんですか。

今中さん:
書類上はね。
ですから、もし、それいっぺんに止めたら、だから純資産が3000億ぐらいになっちゃうわけですよ。

西谷:
そうなると、関電として経営が・・・。

今中さん:
もし状態が悪くなって資産がマイナスになったら、純資産がマイナスになったら、
要するに債務超過という。

西谷:
下手したら、東芝のような道ですね。

今中さん:
それは、もう東芝と同じ状態ですよね。

西谷:
それを避けるためにも、何が何でもどれか動かさなあかんと。

今中さん:
それは、たぶん理由の一つだろうと思います。

西谷:
なるほど。何れにしても、その一つの企業の利益のために、
多くの人の命が脅かされてるという構図は変わりませんね?

今中さん:
はい。

西谷:
はい、よく分かりました。
今中さん、どうもありがとうございました。

今中さん:
はいはい、どうも。