いまにしのりゆき:
今日のテーマは「放射線審議会、危ない機能強化」についてお伺いしたいと思います。

小出裕章さん:
はい。

いまにし:
原子力規制委員会は、放射線の防護の基準等を検討する放射線審議会の機能強化を柱とする
関連法案の改正案、国会に今、出されました。
従来、審議会は関係省庁から諮問を受けて、答申する受け身のような立場なんですけども、
これを要するに、自分ところから積極的に発言していくという
提言をしていく機関にしようじゃないかというような転換のように思えるのですけれども。
その辺ですね、機能強化した場合ですね、ちょっと危ないんちゃいますか
というのを小出さんに伺いたいと思います。

小出さん:
もともと放射線審議会というのは、古い歴史のある審議会なのです。
それで、文部科学省に所属していて、今、いまにしさんが説明して下さったように、
いろいろな省庁から質問を受けた時に、それに対して答えるというそんな役割だったのですけれども、
福島第一原子力発電所の事故が起きてしまって、2012年9月19日に原子力規制委員会という
新しい委員会が立ち上がった時に文部科学省傘下ではなくて、
むしろ原子力規制委員会の傘下になれということで組織替えが行われたのです。
そして、原子力規制委員会を今はトップとして原発の再稼働に動いているわけですけれども、
その一応こうに流されるのだと私は思います。 

いまにし:
なるほど。それでですね、放射線審議会というのも、当然、原発事故があった当時から、
もともと古い歴史の中で原発事故がありまして、
イマイチどころか、あんまり頼りにならないなあと思ってた審議会なんですけれどもですね。
それが、こういう形で積極的に発言をしようというようなことをした場合、
ますます国民が混乱に陥ったりしないのかなあと思うんですが、小出さん、その辺りご意見いかがでしょうか?

小出さん:
原子力規制委員会も行政組織なわけですし、それを規制庁という役所がバックアップというか支えてるわけです。
そういう役所というのは、もともと原子力を推進してきたという、正に当事者というか重大な責任のある所なのですけれども、
そういう人達が福島第一原子力発電所の事故が起きた後も実権を握り続けているわけです。
そして、これからまた原発の再稼働どんどん進めようとする時に、
今までのようなスピードで、どっかから諮問を受けたら、それに答申を出すというような事では間に合わない。
もっともっと積極的に被ばくに関する提言を出していくというそういう事を考えて、
たぶん今回の法改正が行われようとしてるのだと私は思います。

いまにし:
例えば、被ばくのことで言いましたら、2011年原発事故が起こった時ですね、
作業員の被ばく量の上限について、100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに急に引き上げ、
それが了承され、2015年はまた緊急のそういう作業があった場合、
250ミリシーベルトに引き上げることを妥当だとしたという事でですね。
なんかこう確固たる信念があるんじゃなくてですね、その時のなんか政治とか社会の状況なんかを見ながら、
なんかあっち行ったりこっち行ったりしてんのかなあという風に思えてならないんですよねえ。

小出さん:
はい。もともと被ばくというものについて、化学的に安全だというような被ばく量はもともとないのです。
ですから、どこまで被ばくを許容するか。
通常時にどこまで、緊急時にどこまでというのは、社会的に決めるしかないわけであって、
福島の事故が起きた時には、それまではその事故終息のために、
100ミリシーベルトしか被ばくしてはいけないというのが恒例だったのですけれども、
一気にそれが250ミリシーベルトまで引き上げられてしまう、放射線審議会も了承してしまうということだったわけですし、
一度はまたそれが100ミリシーベルトに戻されたんですけれども、今、いまにしさん仰って下さったように、
2015年には緊急作業ならもう250ミリシーベルトまでいいんだという風に基準が変えられてしまうわけです。
ですから、その時々の都合によって、数値がどんどん変わっていくわけですし、
その数値を決める組織として放射線審議会というものが利用されようとしているわけです。

いまにし:
なるほど。
そうするとですね、先程100ミリシーベルトとか250ミリシーベルトと私が申し上げたのはですね、
いわゆる作業員の方なんですけれどもですね。
これ、その状況によれば、作業員ではない方のそういう被ばく線量の上限とかが変わってきたりとか、
とかくその時の政権の意向なんかに、そういう基準が合わせていってしまうような所があるのではないかなあという事で、
やっぱり非常に心配だなあと思いますよねえ。
そういう中でですね、先程も小出さんの話にあったんですが、こういう審議会がある場合ですね、
まず100%原発に賛成であると、許容をするような方々ばかりが選ばれますよねえ。

小出さん:
もちろんです。
放射線審議会は先程聞いて頂いたように、原子力規制委員会の下に置かれるわけですし、
原子力規制委員会を自主的に動かしてるのは原子力規制庁なわけですね。
そういう所は、原子力を推進するというそういう人達の巣窟なわけであって、
審議会の委員を選定して任命するというのは、規制庁と原子力規制委員会がやるわけですから、
もちろん自分達の都合のいいような人達だけを委員にして、都合のいいように答申というか提言を出させるという、
そういう事にこれまでもなっていたわけですし、これからは増々それが強まるということになると思います。

いまにし:
なるほど。
原子力村のそういう村社会というか、身内ばかり優先するということはですね、
これまで小出さんにも散々話しを聴いてきたわけなんですけれども。
これから帰還を勧めようとしている中で、やはり放射線被ばく量というのは、もうほんとにキッチリと管理していかないといけない。
仮に、帰還を勧めるとしたらですね。
それで、私あんまり帰還をそんな早急に勧めない方がいいなと思うんですが、
仮に勧める場合、やはり原子力村の言いなりになるような人ばっかりがやってたら、
やはりもう結論はろくなことにならないと思いますし、また第二、第三の被ばくを生むのかなあと思えてならないんですけども。
原子力村というのは、そういうニュートラルな意見を聴こうとかですね、そういうような発想というのはやっぱりないんでしょうか?

小出さん:
もちろん全くありません。
昔から自分達のやることに反対するような人達の意見は聞かないということを彼らはやってきたわけですし、
行政組織の委員を任命する時には、彼らの都合のいい委員だけを任命するということでこれまでもやってきたわけですし、
これからもそういうやり方をとるだろうと思います。

いまにし:
相変わらず反省がない、原子力村の一端をこの放射線審議会に見たような気がします。

小出さん:
はい。

いまにし:
小出さん、ありがとうございました。

小出さん:
いえ、こちらこそありがとうございました。