おしどり(マコ):
おしどりは3.11以降、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故の取材を続けています。
その中で今日お伝えしたいことは、原発事故に関する裁判のことです。
2017年にどんどん福島第一原発の集団訴訟の判決が出てきます。
一番初めは群馬ですね。
群馬の集団訴訟の判決はですね、去年の2016年10月31日に結審と言って、
全ての審議が終わりまして、今年の3月17日に判決が出てきます。ここが一番早い。

おしどり(ケン):
もうすぐですねえ。ほんとに。

おしどり(マコ):
うん。もう全国に先駆けて。
そして2番目は、千葉県の訴訟ですね。
福島第一原発の千葉訴訟が1月31日に結審。
全ての審議が終わって判決が出るのは9月22日。

おしどり(ケン):
9月22日判決。

おしどり(マコ):
金曜日。そう。
今日スケジュールに入れてるから知ってる。金曜日に判決が出てきます。
そして、その次が福島地裁で行われている生業(なりわい)訴訟。
生業を返せ、地域を返せ、福島第一原発訴訟という所で。
それは3月21日に結審、全ての審議が終わりまして、
そして、その日に判決がいつ出てくるかということが発表されます。

おしどり(ケン):
なるほど。

おしどり(マコ):
この3つが集団訴訟。
全国21ある集団訴訟に先駆けて、今年度判決が出てくる所なんですね。

おしどり(ケン):
分かりました。

おしどり(マコ):
はい。私たち1月30日にですね、まず福島訴訟の生業訴訟の取材に行ってまいりまして。

おしどり(ケン):
行ってまいりました。

おしどり(マコ):
翌日、それが1月30日の生業訴訟が、その結審の前のラスト前の弁論だったんですけども。

おしどり(ケン):
そうでしたねえ。

おしどり(マコ):
その翌日、1月31日が千葉地裁で結審ということで、そちらも取材に行ってきました。

おしどり(ケン):
行ってきました。朝からもう一日でしたねえ。

おしどり(マコ):
そうそう。

おしどり(ケン):
両方ともねえ。

おしどり(マコ):
そう。結審の弁論自体は3時間半。
凄く長かったけど、私は傍聴券が当たったんで傍聴しましたけど、あっという間でした。
それで私ね、昨日傍聴してて審議を聴いてて、何度も何度も泣いてしまったんですけど。

おしどり(ケン):
そうらしいですねえ。

おしどり(マコ):
そう。もうなんか帰りながらもケンちゃんに話しながらも何度も泣いてね。
何が私悲しかったかって言うと、千葉訴訟の原告が提訴した時はもともと47人だったんですけど、
もう既に6人亡くなったんです。原告がね。

おしどり(ケン):
原告の方が6人亡くなられた。

おしどり(マコ):
そう。亡くなられて、そのお子さんが亡くなった原告の意志をついで、原告になっていたりされているんだけど。
もう6人も、避難先で避難したまま亡くなっておられるんですよね。

おしどり(ケン):
はい。

おしどり(マコ):
昨日、結審の時に意見陳述された原告の方は、
その92歳のお母様が2016年、去年の4月に亡くなられたというお話をされておられました。

おしどり(ケン):
92歳のお母様が、じゃあ最初原告だったんですか?

おしどり(マコ):
そう。だったんだって。
それで、そのお母様は福島から千葉に避難されて、地震のすぐ後は原発事故のすぐ後は津波も大変だったからね、
自分が生き残ったのは神様に生かされたんだと。
だから、しっかり生きなくてはっていうことおっしゃってたんですって。
でも、その言葉も違うし、もう全然周りに知り合いもいないし、避難先でどんどんどん弱っていってらして、
唯一の楽しみは福島のお友達にお電話をすることで。
でも、そのお友達の親友が亡くなってから、見る間に元気がなくなったんですって。
それで、その親友が亡くなってからね、
「親友は旦那さんがお迎えに来てくれていいな」と「私の主人は何でお迎えに来ないんだろう」
っていうことを言い出して、どんどん弱っていったんですって。

おしどり(ケン):
ちょっと切ないですねえ。

おしどり(マコ):
切ない。地震の直後は、「神様に生かされた命だから頑張らないと」っておっしゃっていたのに、
もう周りのお友達がどんどん亡くなって、外に出て言葉も違うし、全然知らない人達ばかりだというので、
外に出て行けなくなったうちに、足腰も弱っていって、そして、言葉もだんだん呂律が回らなくなっていって、
言語障害が出てきて、「もう早く旦那さんにお迎えに来て欲しい」って言うようになっちゃったんだって。
でもね、そのような中でも、本と新聞はとてもしっかりご自分で読んで自分の意見をはっきり言う方で、
新聞で千葉で集団訴訟が始まるということを知って、すぐに原告に名乗りを上げたんですって。
国と東京電力の責任はきちんと追及したいと、

おしどり(ケン):
凄い。

おしどり(マコ):
凄いでしょ。
でね、東京電力だけが悪いんじゃない。国も責任があるんだと。
その責任をきちんと明らかにすることは、私達、私がやらないといけないという事で。
もう90前ですよ。その時点で。

おしどり(ケン):
そっか。

おしどり(マコ):
そう。でもね、原告に自分が決めて、すぐに自分で連絡をとったっていうことを娘さんおっしゃってました。

おしどり(ケン):
その姿はね、娘さんは傍でご覧になってたんですよねえ。

おしどり(マコ):
そう。でもね、それで「故郷にいつか帰りたい、帰りたい」っておっしゃっていて、
おっしゃっていたんだけど、でも、もうほんとにどんどん「旦那さん早く迎えに来て欲しい」とおっしゃるようになって、
それで、「自分が死んだら、骨は海にまいてくれ」っておっしゃってたんですって、娘さんにね。
それで、「自分が先祖代々伝わってきた家もお墓も守れなかったから、そんな自分はご先祖様と同じお墓に入る資格はない」と
「だから、自分が死んだらもうお墓に入れないから、ご先祖様に申し訳ないから、骨は焼いて海にまいて」って娘さんに言ってたんですって。

おしどり(ケン):
そんなお母さんの責任じゃないじゃない。

おしどり(マコ):
そうよ。ほんとにねえ。
でも、「早く一度帰って、故郷の桜を見たかった見たかった」っておっしゃっていて。
でも、お母様は去年の4月に亡くなられて、今、でもやっぱりね、ご先祖様と同じお墓に入られたので、
今は母は故郷の桜を見られたんだなあと思っていますということをおっしゃってました。
その国と東京電力の責任をきちんと追及したいと言っていた母の意志を継いで、
今は私が原告になっていますと。
これ以上、こんな思いをする人を出さないでくださいと。
きちんと責任を明らかにして下さいということを意見陳述してらっしゃいました。
ほんとにそんな感じで、年配の方が故郷に帰りたいとずっとおっしゃっていた方が、
国と東京電力の責任を明らかにしたいと。
そして、こんな思いをする人間をもうこれ以上出さないで欲しいということで、私達で終わりにしてほしいということで、
原告になっている方々が本当に沢山おられていて、集団訴訟が各地で立ち上がっています。
でも、ほんとにね、結構、原告は年配の方々が多いじゃないですか。
生業訴訟は4千人近く原告がおられるんですけど、年配の方々が多いんですよねえ。

おしどり(ケン):
ほんとよねえ。

おしどり(マコ):
うん。私達、水俣病とか泉南アスベストとかいろいろ他の公害問題も取材していて、
そして、その水俣病の溝口訴訟とか関西F3訴訟、
そして、泉南アスベストという裁判が2013年や2014年に最高裁判決が出て、
そして、原告側が勝って、国が悪かったと国の賠償責任を認めたんですけどね、
もう裁判自体何十年もかかっていて、もう原告たくさん亡くなっていて、
みな最高裁の判決の時に亡くなった原告の遺影を手に持ったお子さん方が多かったんですよ。

おしどり(ケン):
今思えば、ほんとに遺影を持った方ばっかりと言うとちょっと言い過ぎですけども、ほんとに多いですよね。

おしどり(マコ):
そう。水俣病の裁判もF3訴訟も溝口訴訟も泉南アスベストもそうだったじゃないですか。
それで、私、千葉地裁の結審の取材に行って、地裁の第一審の取材に行ってね、
他の全国でやってる原発事故の裁判の弁護士の方々も沢山来られていていろいろ話してたんですよ。
いろいろ話をしてたら、「その資料送ってちょうだい」とか
「東京電力の原発事故のことに関して、今度、弁護士事務所に来てちょっといろいろ資料の読み方とかいろいろ教えてほしい」
と私いろいろ言われてたのよね。
でも、もうすぐ一審が終わる所もあるので、「でも、もうこれもうすぐ結審なんで間に合いませんよね」
っていう事を言ったら、その弁護士さんに私ね、「大丈夫、まだまだ高裁も最高裁まであるから、先は長いよ」って言われたんですよね。
「ああ、そうか」と私そこでやっと初めて思い当たって。
この裁判は、その国や東京電力側とその原告側が住民の方々と争っているけど、
どっちが勝っても負けても控訴して高裁に行って、最高裁まで行くんですよ。
行く想定なんですよ。両方ともね。

おしどり(ケン):
時間を考えるとね。どれだけかかるか。

おしどり(マコ):
そう。だから、私、千葉訴訟で取材をしていてね、もう既に47人のうち、もう3年で6人原告が亡くなっていたら、
最高裁に行くまでにいったい何人亡くなってしまうんだろうっていうことを思い当たったんです。

おしどり(ケン):
そうやね。

おしどり(マコ):
私達ほら、水俣病とアスベストの取材をしてその事は分かりきっていたはずなのに、
長年、何十年も最高裁まで行くうちに、国がなかなか責任を認めないうちに原告の方がどんどん亡くなっている裁判を見ているのに、
今の事ときちんとリンクして繋げて考えることができていなくって。
いつも、ほらあちこちの裁判に行って、いつもニコニコ笑って写真を撮るおじいちゃんとか、
お饅頭くれるおばあちゃんとか、おにぎり持ってきてくれるおばあちゃんとか、
そういう原告の方々がもう90近い方、80歳過ぎている方が最高裁まではきっとおられないだろうなっていうのに
思い当たった時に、凄い腹が立って悔しくて悲しかったんです。

おしどり(ケン):
それで、昨日はほんとに何回も泣いてましたね。

おしどり(マコ):
何回も泣いた。
こんな国だと分かっていたのにと思って、凄い泣きました。
ほんとにね裁判を起こしている方々は、よくね地元でも凄く批判をされるんですよ。
「そんなにお金が欲しいか」と「そんなに賠償金が欲しいのか」ってよく言われるんですけど。

おしどり(ケン):
その話、よく聞きますよね。

おしどり(マコ):
そう。でも、裁判起こすことって本当に大変で。
全然自分のお金儲けの為じゃなくって、きちんと責任を何が起こったのか、誰が悪かったのか、
二度と同じことを起こさないように、二度と同じような辛い目にあう人がいないように、
きちんと追及したいという方々ばっかりなんです。

おしどり(ケン):
なんか、こういう事を繰り返して下さることで、
なんか自分達の権利とかそういう物を守り続けてるんやなって思いますよね。

おしどり(マコ):
そう思う。ほんとに90前の方が原告になるっていうのは、自分が最高裁まで行かないと分かっていて、
それでも原告にならねばと思う、そのお気持ちっていうのはね。
それを私は千葉訴訟の意見陳述を伺って凄く感じました。
ほんとにどんどんどんどん結審、あちこちの裁判が結審されて判決が出てきます。
このあちこちにある原発事故の集団訴訟。
集団訴訟じゃなくても、いろんな裁判が起こってます。
それを皆さんが傍聴したりとかいろいろ足を運んでどういうお話になってるのかなと
関心を持って声を上げることっていうのも凄い大きな力になります。

おしどり(ケン):
それは凄くなんか力になるって、弁護士の先生もおっしゃってましたね。

おしどり(マコ):
おっしゃってた。
だからもう結審の頃になったら、もう裁判に対して出来ることと言ったら、
裁判所に対してきちんと世論の声が聞いてくれという署名を提出することなんですって。
だから、様々な今年判決が出る様々な裁判、判決が出なくてもいろんな裁判でどんどん署名活動が始まっています。
本当に日本の私達の戦い、私達の権利を守る戦いとして、原発事故の被災者の方々が裁判を起こして下さってるので、
私達もいろいろ頑張って戦いに参加したいもんですね。

おしどり(ケン):
ほんとに注目ですね。

おしどり(マコ):
はい。ということで、今日はおしどりによるLight Up!ジャーナルでした。