矢野宏:
これまで1兆円もの資金をつぎ込んだものの稼働の目途すら立たない高速増殖炉「もんじゅ」。
政府がようやく廃炉とする方向で動き出したかと思いきや、
政府は11月30日、もんじゅに変わる新たな高速炉を開発する方針を示しました。
本日は、もんじゅ廃炉の裏側に何があるのか、今中さんにお話を伺います。
今中さん、よろしくお願い致します。

今中哲二さん:
はい、こちらこそよろしく。

矢野:
今回の政府決定、政府発表に対し、今中さんはどんな感想をお持ちになられましたか?

今中さん:
全く遅すぎますよね。
もんじゅがナトリウム火災事故を起こした1995年の段階、
その段階で、日本の核燃料政策全体をきちんと見直しをするべきだったんですよね。
いわゆる高速増殖炉路線というのはその段階でほぼ破綻してしますから、
いわゆる六ヶ所の再処理工場も含めてどうするかという議論をきちんとやるべきだったんですよね。
高速増殖炉というのは、アメリカが最初にやろうとしてどうも上手くいかない。
イギリスも止めたし、フランスもかなりやりましたけども、やっぱりどうも上手くいかない。
高速増殖炉は止めて、高速炉で何とか生き残りを図ってるという現状ですね。

矢野:
なるほど。その違いっていうのはどんな違いがあるんですか?

今中さん:
普通の原発というのは水で使ってます。
水を使うことによって核分裂連鎖反応をしてるわけですけども、
高速炉を使うとプルトニウムができる割合が多いのと、
プロトニウム239という原爆用のプルトニウムの純度が高いのができるという原子炉なんですよ。
それで、今回もんじゅを止めて、また新たな高速炉の開発に取り組むというのを見てたら、
うたい文句はいわゆる高レベル廃棄物処理、
特に、ウランとかプロトニウムの原子炉の中に入れてると出てくるキリウムとかアベリシウムとか、
いわゆる超ウラン元素と呼んでるんですけども、そういう物を核分裂させて少なくするというのがうたい文句みたいです。

矢野:
なるほど。しかし、もんじゅは廃炉になるわけなんですけれども、
それでもまだ、この国というのは高速炉の研究を進め税金を投入するというわけなんですが、
なぜ政府はここまでこだわるんでしょうか?

今中さん:
よく分かりませんけども、私がずーっと感じてるのは、
やっぱりその裏に日本の核兵器をつくる為の潜在的能力を維持しておくと。
これが、この高速炉並びに再処理を持っておくという意味合いだと思いますよ。

矢野:
なるほど。やっぱり核兵器の問題ですねえ。

今中さん:
はい。

矢野:
それで気になる動きがあるんですけれども、もんじゅの廃炉が報道された後、
日本会議のマドンナとも言われる、あの櫻井よしこさんが理事長を務める「国家基本問題研究所」というものがありまして、
そこが読売新聞とか産経新聞に意見広告を出したんですよね。
「もんじゅの活用こそが日本の道です」と「私達はもんじゅの開発継続を求めます」という風に広告を出したんですね。

今中さん:
これは、だから私からしたら、いざとなったら原爆を作れる技術を持っておきましょう、
という風に裏に書いてあるように思いますけども。

矢野:
なるほどねえ。このもんじゅをこの運営する日本原子力研究開発機構というのは、
もともと核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所が統合したものですよねえ?

今中さん:
そうですねえ。

矢野:
今、調べてみると、職員数が3700人いるんですね。
2016年度の予算が1370億5400万円という。
これでもんじゅを含む高速炉の研究開発費に282億円を計上してるんですけれども、
実質的には、このもんじゅの予算の全てが維持管理費。
その内の人件費が大量に含まれてるんではないかという風に見られてるんですが。

今中さん:
そうでしょうねえ。

矢野:
やはりこうして見ると、どうも私には世間の批判が集中してるもんじゅを生贄として差し出すことで、
この日本原子力研究開発機構という利権組織を守ろうという思惑が見てとれるんですけれども。
先生、もう1つ問題があるんですが、このプロトニウムの問題ですよね。
この今、日本では既にもう48トン保有している。
長崎原発なら4千発以上も生産する量ですよねえ。

今中さん:
はい。

矢野:
もし、もんじゅがこれ廃炉になれば、核不拡散の観点から国際社会の目は一層厳しくなるんではないでしょうか?

今中さん:
そうでしょうねえ。はい。

矢野:
それに対して、その政府は変わって、高速炉を作るというような事に打ち出したわけでしょうか?

今中さん:
いや、たぶん高速炉の話は、結局、高レベル廃棄物処分に役に立つという
新たに絵に描いた餅みたいな話が出てくるんだと思います。
ただ、どちらにしてもプルトニウムを何とかしなきゃいけないというのはありますよねえ。

矢野:
そうですよねえ。
今、原発でこうしてモックス燃料として使ってるわけですけれども、それでは到底追いつきませんもんね?

今中さん:
追いつきませんから。

矢野:
もんじゅの廃炉の決断を期にですね、政府は核燃料サイクルを含めた原子力政策の見直しこそ、
やっぱり取り組むべき問題だという風に思うんですが。

今中さん:
抜本的な見直しをやって欲しいですね。
即ち、六ヶ所の再処理工場を含めどうするのかと。
また高レベル廃棄物問題も含めてどうするのかという事だと思います。

矢野:
そうですよね。
また、無駄な私達の税金がこうして使われるわけですもんねえ。
許されないことだと思います。

今中さん:
やっぱり、その中で一番大事なのは、福島のあの大変な取り返しのつかない事故というものを直視して、
原子力というものを考えていくということだと思います。

矢野:
はい、分かりました。
さて、ここでお知らせです。
今中さんを講師に招き、2017年3月11日土曜日、午後2時から大阪市此花区のクレオ大阪西で、
福島第一原発事故から6年、その現状と課題について語って頂きます。
主催は私達、新聞うずみ火です。
詳しくは、この自由なラジオホームページか新聞うずみ火のホームページをご参照ください。
今中先生、どうもありがとうございました。

今中さん:
どうも。