西谷文和:
今中さん、今日もよろしくお願い致します。

今中哲二さん:
こちらこそ。

西谷:
今中さん、今日のテーマは『ヨーロッパで安全な原発ができたって本当?』と題して、このヨーロッパの原発事情をお聞きしたいのですが。
ずばり伺いますが、フランスが次世代原発、この欧州加圧水型原子炉EPR、一体これどんな物なんでしょうか?

今中さん:
EPRのことですねえ。
ヨーロッパ型の加圧水型炉っていって、たしかフランスが中心になってドイツなんかも入って、ずいぶん前から開発してますよ。

西谷:
そうなんですか。これは本当に安全なんですか?
どうなんです?

今中さん:
安全な原発と言われると、ちょっと言葉に引っ掛かって、安全な原発というのはあり得ないんですよ。

西谷:
やっぱりあり得ない。はい。

今中さん:
はい。原発は危険なものだと思って下さい。

西谷:
はい。

今中さん:
安全な原発と言われたら、私からしたら落ちない飛行機というイメージになってるんですよ。

西谷:
なるほど。

今中さん:
はい。ですから、飛行機でも、より安全な危険性のより少ない飛行機というのはありますよね。

西谷:
この欧州型のEPRというのは、この日本と違ってどこがいわゆる安全度を高めてるんでしょうか?

今中さん:
基本的に頑丈にできてるのと……

西谷:
原子炉の窯とかがですか?

今中さん:
はい。窯ももちろんですけども、壁とかいわゆる格納容器がたしか二重になってると思いますし、
いろんな飛行機とか飛行機衝突とかテロ対策とかはやってます。

西谷:
やっぱりあれですか、そのフランスやドイツの場合は地震というよりもテロをきっかけに安全にしなあかんという。

今中さん:
そうですね。テロがありますね。
それと、やっぱり炉心溶融ですね。
1979年のスリーマイル事故を経験して、炉心溶融を起きるという前提で原発の安全対策をやってますよ。

西谷:
なるほど。ということは、日本は事故は起きないという風に前提で安全対策するのと、
「いや、事故が起きる」と安全対策するのと全然違いますよねえ。

今中さん:
はい。福島が起きた時にベント、ベントとか言って。

西谷:
ベント、ベントと言ってましたねえ。

今中さん:
いわゆるガス抜きです。
あれは、スリーマイルの事故を受けてヨーロッパがすぐやったんですよ。

西谷:
なるほど。ベントは。

今中さん:
日本はたしか1990年代になって、それは各電力会社が「自主的にやりなさい」ということになったんです。

西谷:
ヨーロッパは強制的にいち早くやったけども。

今中さん:
だと思います。

西谷:
日本はかなり遅れて。

今中さん:
そうです。

西谷:
自主的にやれと。

今中さん:
ええ。それで、もたもたしたというのもあると思いますよ。

西谷:
結局、二号機はベントいかんかったんでしょ?

今中さん:
はいはい。

西谷:
壊れちゃいましたよね?

今中さん:
はい。

西谷:
ということはですよ、結局、原子力安全神話が日本にはあって、
「潰れへんねんから、ベントもいらんやろ」と、こういう考え方?

今中さん:
はい。「余計なことはするんじゃないよ」という発想だったと思います。

西谷:
なるほど。
よくね、言われるのは、ヨーロッパ型はいわゆるコアキャッチャーというのがありましてね。

今中さん:
ですから、炉心溶融を起こしますよね?

西谷:
はい。

今中さん:
そうすると、その溶けたやつが底に落ちて、コンクリートを溶かしてズブズブズブっとチャイナシンドロームの恐れがあるわけですけども。

西谷:
まさに福一じゃないですか。それが。

今中さん:
はい。それをですね、今度溶けたやつを平べったく流して誘導して、何か冷やして冷えるようなシステムですねえ。

西谷:
これをヨーロッパは付けているけど。

今中さん:
そうですね。EPRは対応してると思います。

西谷:
日本はない?

今中さん:
日本は検討はしてますけども、実際には付けてませんね。

西谷:
なるほど。その日本の方が地震が多いわけですが。
私は、個人的にはなんぼ安全でも造ったらあかんと思うんですけど。
これですね、最近よく出てくるフランスですから、アレバという企業が三菱と組んでますよね?
日本の。

今中さん:
そうですね。

西谷:
日立とGEが組んでますよね?

今中さん:
はいはいはい。

西谷:
それから、東芝とウェスチングハウスやったんかな?
結局、なんかこのとんでもない原発企業を日本が金出して助けてるような風に見えちゃうんですけど。

今中さん:
そうですねえ。それ東芝さん、もうガタガタになってますよねえ。

西谷:
東芝、今、ガタガタでしょ?

今中さん:
ええ。やっぱり、あれはねえ、無理やりウェスチングハウスを買い込んだり。

西谷:
ですよねえ。

今中さん:
ええ、あれで相当効いてるんだと、ボディーブローになってるんだと思いますよ。

西谷:
これ、何もいい事ないじゃないですか。
その原発造って地元住民も嫌やし、それがペイしなかったら。
そのお金は日本が出すって、それ止めて欲しいなと思うんですけどねえ。

今中さん:
はいはい。なんか不思議な世界ですねえ。

西谷:
そんな中でね、ベトナムは何とか日本とロシアの原発を中止させましたよねえ。これ懸命な判断ですねえ。

今中さん:
そうでしょうねえ。もちろん安全性の問題もありますし、経済性の問題もあったんだと思いますよ。

西谷:
そう思うんですよ。
これ原発って、もうこれから21世紀、この再生可能エネルギーが出てきて、
専門家から見てもこんなんねえ、一番コストが高いということがバレてきてますしねえ。

今中さん:
ただねえ、電気代というマジックがありますからねえ。
一種の公共料金みたいな形で、これまでは無理やりに集めてたと。

西谷:
総括原価方式でしょ?

今中さん:
はい。

西谷:
掛かった金。

今中さん:
それがこじれたら、原発は生き残れないと思いますよ。

西谷:
ねえ。
だから、そういう意味では今回のヨーロッパの安全な原発のこの問題については、
もちろんそれは危険なやつよりは安全な方がいいんやけど。

今中さん:
はい。その分、どんどんどんどんお金が掛かることも確かですよね。

西谷:
その分、電気料金が上がったり、あるいは国が税金突っ込んだら、税金分が上がるわけでしょう?

今中さん:
そうでしょうねえ。はい。

西谷:
だから、結局、いくら安全でも止めた方がいいってことでしょうねえ。

今中さん:
いくら金掛けても、完全に安全な物っていうのは出来ませんから。
やっぱり、別のオプションで我々生きていくべきだろうと思います。

西谷:
はい、どうも今中さん、ありがとうございました。

今中さん:
はい、どうも。