木内みどり:
今日も元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんにお話を伺います。
小出さん、こんにちは。

小出裕章さん:
はい、こんにちは。みどりさん、お久しぶりでした。

木内:
お久しぶりでした。私、昨日、澤地久枝さんのお家に行きました。

小出さん:
はい、羨ましいです。

木内:
白い建物で、白い玄関でした。
その真ん中に、「安倍政治を許さない」あのポスターが飾ってありました。

小出さん:
はい。私も行ってみたいです。

木内:
はい、それではお伺いします。地震のことです。
11月22日に地震がありました。
調べてみたら、5時56分に地震があったんですね。 
津波警報が出たのが6時2分でした。
福島第二原発の3号機の使用済み核燃料プールの冷却装置が止まった。
6時10分に自動停止したんだそうです。
そして、7時47分に手動で復帰しました。
ということは、6時10分から7時47分、1時間37分間止まっていたんですが、
私が聞きたいのはここなんですね。
自動で止まるというのは、機械で設定してあるんだから自動で止まりますよね。

小出さん:
そうですね。

木内:
47分に手動で復帰した。
この手動は人がやったわけですよね?

小出さん:
もちろんです。

木内:
そうすると、この原子炉のこういう所は凄く危険だから、やっぱり作業員の方も避難するわけですよね?

小出さん:
場合によっては、避難をしなければいけなくなる時があるわけですね。
福島第一原子力発電所の事故、2011年3月11日の時には皆さん逃げたわけだし、
逃げ遅れた人はお亡くなりになった方もいらっしゃるわけですね。

木内:
そこなんですけれど、この手動で復帰させたスイッチを押した方っていうのは、
もちろんいろんな状況考えて残るべきだ、作業するべきだってしたんでしょうけれども、
こういう人っていつも匿名ですよね?

小出さん:
はい。使用済み燃料プールを点検してる多分作業グループっていうのがあるわけですし、
緊急時には、それをどういう体制でやるかということも決まっていたはずだと思います。

木内:
ですよね。
私が突っ込みたいのはね、そこからちょっと細かいことなんですけど、
こういう凄く日本全体に命が関わるような、やっぱり大事なことだと思うんですね。
大事なスイッチだと思うんですよ。
それを押したっていう人の個人名まで出す必要はないけれど、
やっぱり日本中があなたの手元を見ているよっていうような大事な作業をしているんだっていうことを
自覚してもらう為にも、いつもいつもこう名前も何も発表されないで、
責任をあんまり感じずにやってるんじゃないかなって。
だから、何もかも誰も責任を問わず、誰も責任を問いもしないし、とらないということの、
小さいけれどこういう事なんじゃないかなって、私はずっと朝からこだわっているんですが、どうお思いになるでしょうか?

小出さん:
はい。多分そういうこともあるだろうと思います。
東京電力という巨大な会社があって、巨大で複雑な原子力発電所というものを動かしているわけですけれども、
言ってみれば、キチッキチッとした組織として動かなければいけない、
いわゆる軍隊のような形になってしまっていて、一人一人の人間ではない。
要するに、組織なんだという風な意識が多分あるんだと思います。
ですから、一人一人の人達は自分の責任ということに関して、かなり意識が低くなってしまっているんではないかなと、
私は危惧しています。

木内:
そうなんですよ。そこを私は、ほんとに突っ込んでいきたいと思うんですね。
私、反原発とか脱原発って言ってもなかなか効果が上がらない……
「どうしたらいいんだろう?」っていろいろ考えた時に、
この私の小さいことに突っ込んでいくっていうことをこれから続けていこうと、
私は決意したんですけれど。
この匿名の下に、例えば新聞記事でもそうですよね。
自分の名前を出さずに記事を書くから、それに何も責任をとらない。
だから、いつもいつも大きな会社の名前で仕事してる人達っていうのは自分の責任を意識しない。
という事はプライドもあんまりない。
それから、個人の名前において生きていない。会社の看板で生きてしまう。
だから、そこをやっぱりみんなで止めていかないと、
この世の中全体が変わらないんじゃないかっていう風に思い始めたんですが。
例えば、小出さんはいつでもいつでも元京都大学原子炉実験所という名前が肩書きが付いて回りますけれども、
もう、でも誰も京都大学原子炉実験所なんてもう関係ないんですよ。
もうただ小出裕章さんっておっしゃれば、もうそれでもうみんながそれでもう納得という、
個人の名前でずっと生きてらしたから、そういう風になんか私ごときと小出さんを並べては申し訳ないんですけれども、
私もずーっともうどこにも寄りかからず一人で生きてきたので、
そういう孤独と辛さと挫折と恥ずかしさといろんな思いがあって、今生きてるわけなんですね。
だから、その東京電力にしても参議院議員にしてもどこ党にしても、電通にしても、
その1、ひとりはその人しかない人生を生きて個人なんだということを
もっと大きな会社にいる人こそ感じて欲しいと、どうしても思ってしまうですが。

小出さん:
はい、完璧に同意します。

木内:
ありがとうございます。
なんか全然質問をしてなくて申し訳ないんですけど。
それで、今日の質問はですね、山本さんが作ってくれた質問があるんですけれども、
私には、この使用済み核燃料プールっていうのもあんまり分かっていないんですけれども。
ともかく使用済み核燃料っていうものは、使用済みになっちゃったんだけど、
ゴミ箱に捨てるわけにいかなくて、使用済み核燃料プールという所で水で冷やし続けないと危険なものなんですよね?

小出さん:
そうです。 

木内:
この使用済み核燃料っていうのは、いつまで冷やすんですか?

小出さん:
ええっと(笑)非常に長期間にわたって冷やさないといけないのです。
原子炉が運転中で、例えばその原子炉を停止するといった時にも、
使用済みというか、その燃料の中には大量の放射性物質があるので、猛烈な発熱をしているわけです。
そのため、福島第一原子力発電所の事故では、1号機、2号機、3号機の炉心が溶けてしまうというような大事故になったわけです。
但し、運転を停止してしまいますと、そこにあった放射性物質のうち、それぞれの放射性物質の寿命によって、
どんどん無くなっていってくれるのです。
発熱も約1日経つと10分の1ぐらいに減ってくれますし、1年経てばそのまた10分の1ぐらいまで減ってくれるという、
そのぐらいのスピードで減っていってくれるのです。
使用済み燃料プールという中には、もう燃やし終えた燃料が入れてあるわけですけれども、
入れてから1年経てば、100分の1ぐらいの発熱に減ってくれているわけですし、
その後も年が経てば経つだけ、また少しずつ少しずつ減っていってくれているわけです。
ですから、大きなプールの底に沈めておいて、何年もそこで保管を続けるというのがこれまでやってきたことなのです。

木内:
再稼働されてしまった所では稼働してるわけだから、常に使用済み核燃料っていうのは生まれ続けてるわけですよね?

小出さん:
そうです。またそういう危険なものを生んでしまっているということになっているわけです。

木内:
ということは、ほんとにどこからどういう角度から見ても聞いても、
原子力発電は止めた方がいいんじゃないかって、どうしてみんな思わないのかしらと思うんですけど。

小出さん:
私もそう止めた方がいいと思いますけれども、多くの人達は今、日本というこの国は科学が進歩している国なんだから、
何とかなるだろうというように皆さん聞かされてきたし、ほんとんどの方がそう思ってきたのですね。
原子力発電所が事故を起こすなんてこともないと聞かされてきて、皆さんそう思ってきたけれども、
でも、やはり事故は起きたたわけですし、使用済みの核燃料にしても、始末ができないということはもうハッキリ分かっているわけで、
そんな物を生んではいけないと、まず多くの方が気がつかなければいけないんだろうと私は思います。

木内:
ですよねえ。
だって、事故前だったら、それで良かったのかもしれないんだけど、現実に起きたんですもんねえ。
あれだけの事故が。
それで、あれだけの人々が苦しんで、今も苦しんみ続けていて、
原因も分からず、誰も責任をとらずで、ずーっとこのままで、みんな平気で過ごしちゃうっていうことは、
また次の事故が起きるんじゃないかって、私はこの間の地震の時にゆらゆらゆらゆら横揺れした時に、
「あっ、もう日本中のみんな起きろ!」と思いましたけど!

小出さん:
はい、私もそう思いました。
ただ、今、みどりさんおっしゃって下ったけれども、
福島第一原子力発電所の事故が起きて、大変な苦難が今現在も続いているわけですけれども、
その苦難を引き起こさせてしまったことに責任のある人達、誰一人として責任をとっていないし、
とろうともしないし、また処罰もされないという、そういう国なのですね。
ですから、彼らとしては、何をやっても自分は安全だということを事故の教訓として学んだわけで、
原子力発電所は再稼働して、また金儲けをしようとしているわけです。
ですから、その事を本当はもっと多くの人が気が付かなければいけないのですが、
メディアもそのことを伝えない。
今現在、原子力緊急事態宣言という宣言が未だに続いているのですけれども、
そのこと自身も、たぶん多くの日本人は知らないままだと私は思います。

木内:
本当ですよねえ。
私達は非常事態に生きてるんですよねえ。

小出さん:
そうです。

木内:
はい、ありがとうございます。今日の東京は凄い寒いんですけど、松本はいかがですか?

小出さん:
松本は結構寒くなってきましたけれども、私は寒いのが大好きなのでとっても快適です。

木内:
快適ですか。
はい。でも、風邪をお引きにならないようにいらしてください。
ありがとうございました。

小出さん:
はい、ありがとうございました。