いまにしのりゆき:
小出さん、よろしくお願いします。

小出裕章さん:
よろしくお願いします。

いまにし:
夢の原子炉と言われました高速増殖炉「もんじゅ」、廃炉に向けた調整が始まりまりました。
一方で、官民をあげて高速炉開発会議というのを設置し、核燃サイクル政策について、更なる維持をしようという話も出ております。
今日は、この「もんじゅと核燃サイクルの行方」についてお伺いしたいと思うのですが。

小出さん:
はい。少し基本的なことから話をさせて頂きたいのですが、
皆さん、原子力の燃料はウランという事はご存知だと思います。
そして、原爆というものについて、広島と長崎に落とされたということもご存知だと思います。
そして、原爆の場合には、広島に落とされた原爆は確かにウランで作られていたのですが、
長崎に落とされた原爆はプルトニウムという物質で作られていました。
私、今、ウランと言いましたけれども、地球の地底に眠っているウランを掘ってきた時に、
核分裂する能力を持っているウランはわずか0.7パーセントしかないのです。
現在の原子力発電で使えるウランは、要するにそれだけしかないわけで、
何か原子力は夢のエネルギーで、未来のエネルギー源のように言われましたけれども、
核分裂する能力を持っているウランを使う限りは、簡単に枯渇してしまうのです。
その為に、原子力を推進している人達は一つの夢を描きました。
ウラン全体の99.3パーセントを占めている核分裂する能力のないウラン。
もともとはただのゴミになってしまうようなウランをまた燃料に使いたい。
どうするかと言うと、プルトニウムという物質に変えることによって、
それを原子炉の燃料に使おうと考えたわけです。
先ほど、私、長崎の原爆がプルトニウムで作られていたと聞いて頂きましたけれども、
もともとプルトニウムというのは自然界には全くないのですが、
役立たずのウラン、それに中性子を吸わせると、自動的にプルトニウムに変わるという、
そういう物理的な性質を持っていて、米国は長崎の原爆を作り出したわけです。
そして、今聞いて頂いたように、原子力を推進している人達は、
役に立たないウランをプルトニウムに変えることで原子力の燃料を生み出して、
未来のエネルギー源にしようという夢を描いたのです。
そして、役に立たないウランを効率的にプルトニウムに変えるという原子炉が
高速増殖炉という名前の原子炉でした。
プルトニウムを燃やしながら、どんどんと役に立たないウランをプルトニウムに変えていく、
燃料を増殖していくということで、高速増殖炉という名前が付けられたのです。
世界中の原子力を推進してきた人達が、何とか高速増殖炉を造り出して、
原子力というものが少しでも意味のあるエネルギー源にならないかと言って格闘してきたのですが、
世界中が「これはダメだ」ということで、もうみんな撤退してしまったのです。
日本だけが最後まで高速増殖炉というものにこだわって、もんじゅは全く動かない。
それなのに1兆円以上のお金をかけてしまったという、まことに馬鹿げた夢を追い続けた国というのが、
この日本だったのです。

いまにし:
20年以上ですね、もんじゅ稼働してからなるんですけども、本当に原子炉を動かしたのは1年にも満たない。
たった200何日かということで、全くの無用の長物というような事だったわけですよねえ?

小出さん:
200何日というのも、フルパワーで動いたのではなくて、ただ原子炉が動いたというだけであって、
全く意味のない原子炉になってしまいました。
プルトニウムを増殖していくという目的を果たすためには、原子炉を冷却するための材料として水が使えないのです。
そのために、ナトリウムという物質を使いました。
ナトリウムというのは水に触れると爆発してしまいますし、空気と触れると燃えてしまうという。
そんなもの到底、工業的には使うことができないという程の危険な物であって、
それをでも使わなければ意味がないということで、何とかやろうとしてきたわけですけれども、
あまりにも危険だということで、世界中が撤退してしまったわけですし、
もんじゅも1995年にナトリウム火災というものを起こして、結局、動かないということになりました。

いまにし:
はい。
しかし、もんじゅはダメだったけれども、核燃サイクルはまだやりますというのが
今回、国の立場なんですけれども、最後に、その辺についてはいかがお考えでしょうか?

小出さん:
原子力というのは、プルトニウムを生み出して利用するということが出来ない限りは、
エネルギー源にならないのです。
石油に比べても数分の1のエネルギーしか出せませんし、
石炭に比べれば数十分の1のエネルギーしか出せないという、まことにバカバカしい資源だったのです。
それを何とか原子力というものが良い物だと言おうとするのであれば、
プルトニウムに変えて利用できるということを言い続けなければいけないのですけれども、
その言い続けるために必要な物が高速増殖炉と使用済み燃料の中からプルトニウムを取り出すという再処理、
それを2つを合わせて核燃料サイクルと言ってるのですけれども、
「それをやるのだやるのだ」とこれからも言い続けない限りは、
彼らは原子力の正当性を言えないということになってしまっているわけです。

いまにし:
なるほど。
ある意味、原子力マフィア、原子力村を維持するが為の高速増殖炉であり、
核燃サイクルというような見方もできるんでしょうか?

小出さん:
そうです。
自分達の存在意義を失わないためには、どうしても言い続けなければならないわけです。
でも、そんなもの決して出来ないわけで、これまでも1兆円も捨ててしまって何も出来なかったということなわけですから、
もういい加減に嘘をつくのをやめなければいけないと私は思います。

いまにし:
分かりました。小出さん、ありがとうございました。

小出さん:
はい、ありがとうございました。