矢野宏:
福島第一原発事故の健康への影響を調べるため、福島県の全ての子供達を対象にしている甲状腺検査について、
福島県の小児科医の先生達が組織する小児科医会が、検査の対象の規模を縮小する等の見直しを、県に要望しました。
このままだったら県民に不安が広がるというのが、その理由なんですけれども、
果たして、この時期になぜこの甲状腺検査を縮小するのか?
今日は今中哲二さんと電話が繋がっています。
今中さん、今日もよろしくお願い致します。

今中さん:
はい、こちらこそよろしく。

矢野:
福島県は、事故が起きた2011年度から事故当時18歳以下だった子供達を対象に、
甲状腺検査を実施してきました。
30万人以上が受診し、今年3月末の時点で172人が甲状腺がんか、
或いは、がんの疑いがあると診断されました。
このような状況の中で、甲状腺検査の縮小の狙いは何なんでしょうか?
先生、どう思われますか?

今中さん:
私にもよく分からないんですけども、皆さん、いろんな先生方の意見を聞いてみると、
甲状腺がんがたくさん見つかっていることは確かです。

矢野:
はい、そうですね。

今中さん:
それが、何が原因かということで、いろんなまた意見が出て議論されているわけなんですけれども。
その中で、不安をあおるから縮小するというのは、なんか話が反対なような気がしますね。

矢野:
そうですよね。
これだけの数が出ているんだから、きちんとやっぱり検査すべきですよね。

今中さん:
これから、もっときちんと検査しなければいけないというのは、基本的にとるべき態度だと思いますよ。

矢野:
今中さんは事故当時からおっしゃってましたが、福島県の子供達だけではなくて、
被爆しているのは福島県だけじゃないんだということで、日本全国の子供達を調べろとおっしゃってますよね。

今中さん:
結局ですね、たくさん見つかっていることは確かです。
その原因が何かというのをきちんと明らかにしようと思ったら、他の地域と比較することが必要だと。
それとあと1つですね、チェルノブイリの場合、私、ですから20年前にずっと眺めてて、
チェルノブイリ事故の後に生まれた子供からは甲状腺がんがほとんど出てない。

矢野:
事故の後ですね。

今中さん:
そういうのはありました。
そのデータを私、事故から10年後ぐらいに見て、「やっぱり、もう事故が原因である」と。
ヨウ素被爆が原因であるというのを確信した覚えがありますねえ。

矢野:
なるほど。チェルノブイリ事故の場合は、事故から5年後から甲状腺がんが増えた。

今中さん:
たくさん観察され始めたのは、4年後ぐらい。

矢野:
4年後ぐらい。

今中さん:
岡山の津田先生あたりは、「2年後ぐらいから増えてるよ」と言ってますけども。

矢野:
福島の場合は、その事故直後から、そういう子供達の甲状腺がんが見つかったり、
がんの疑いがあるという風に診断された子供が増えてきた。

今中さん:
そうですね。1年後に、最初の1件目が見つかったんですかね。

矢野:
そうでしたね。

今中さん:
それから、どんどんどんどん増えてきましたから。

矢野:
だから、そこをポイントにして、
「これは福島第一原発事故の影響ではない」という声も、一方で聞こえるわけなんですけど。
果たして、そんなことあり得るのかなと思うんですが。

今中さん:
それは、熱心に検診をすれば、これまで見つからなかったがんが見つかるという、
いわゆるスクリーニング効果ということで、そういうことも、もちろん考えられると思いますよ。
だけども、福島原発事故というものがあって、
その周りに甲状腺がんが増えてる、たくさん見つかっているということですから、
「これは事故が関係しているぞという観点からきちんと調べなきゃいけない」というのが私の意見ですけども。

矢野:
そうですよね。
この甲状腺癌というよりは、そんなに軽視していいものなのでしょうか?
そんな軽いがんなんでしょうか?

今中さん:
私、お医者さんじゃないので詳しい事はわかりませんけども、読んだ限りでは、そんな進行は早くないと言うんで、
いわゆる死亡するリスクですか、致死率も少ないんで、そんなに慌てて手術するとか、そういうことも必要ないというような事は、
一般的には言われてるようですね。

矢野:
なるほど。
ただ、子供達に多く出ることで、その子供達っていうのは進行が早いということがありますよね。
そういったとこがちょっと不安なんですけど。

今中さん:
子供さんはやっぱり大人に比べて、先々将来が長いというんで。
子供達に甲状腺がんの手術をするというのは、いわゆる「過剰診断」だという言い方をされていますね。

矢野:
はい。しかし、その過剰診断だということで、
選択制になれば、隠されていることが、また隠されてしまうんじゃないかという風に、私は思ってしまうんですけども。

今中さん:
もしもですね、ここで甲状腺の検査を縮小されるようになりますと、
ますます私、福島の人々の不安が大きくなるんじゃないかという気がしますね。

矢野:
そうですよね。
本当に当事者にとってみて、やはりそれは本当に大きな不安なんですから。
それをきちんと県なり国なりがやはり責任を持ってきちんと検査するべきですよね。

今中さん:
もちろん私、福島の方に直接お聞きしたわけじゃありませんけども、
ある意味ね、子供も大人も含めて、みんな病気になるわけですよね。なんらかの形で。
そして、その病気が一体何が原因かと言った時に、今の状況で、例えば福島の子供さんが、
甲状腺がんや白血病やなんなりになった時に、皆さん、これは原発事故のせいではないかと、
きっと思われると思うんですよね。
そういう時に、きちんと説明する資料としては、
福島だけでなく日本全体の子供達の健康状態のデータというのをきちんととっておく必要があると。

矢野:
この甲状腺検査の縮小というのは、その逆行ですよね。まさに。

今中さん:
そうですね、私には、そういう気がします。

矢野:
親にとっては、本当に子供が大丈夫なのかどうかというのは本当に大きな不安を抱えてのことですから。
やはり、これはきちんと検査してもらいたいものですよね。

今中さん:
そうですよね。はい。

矢野:
甲状腺がんだけではなくて、今後ですね、白血病とかそういった更なる大きながんと言いますか、
因果関係というのは出てくるんでしょうか?

今中さん:
もちろん、そういう問題もありますから、私、事故の後からずっと言ってるんですけども、
甲状腺の調査にしろ福島県が中心になってやってますよね。

矢野:
はい。そうですね。

今中さん:
いつも言ってるように、これ変なんですよ。
なんか国が県に丸投げしているような形になってまして。
そうじゃなくて、国が中心になって、もっと福島県だけでなく、
もっと周りも含めて、そして、日本全体を見渡せるような調査をする必要があるんだと思います。

矢野:
なるほど、分かりました。
国が県に丸投げするんではなくって、国が中心になって、今後も検査すべきだということですね。

今中さん:
はい。

矢野:
先生、本当にありがとうございました。

今中さん:
はい、どういたしまして。