おしどり:
今日も元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんに電話が繋がっています。
小出さん、今日もよろしくお願いします。

小出裕章さん:
はい、こちらこそよろしくお願いします。

おしどり:
小出先生の今日も素敵なボイスですよ。
小出先生、今日伺いたいのは、愛媛県伊方町にある四国電力の伊方原発三号機が8月12日に再稼働しました。
原発はどこも再稼働してほしくないんですけど、その中でも伊方原発というのは、
日本で一番再稼働させてはいけない原発の一つとおっしゃる研究者の方も少なくないんです。
その理由を改めて、小出先生にお話をして頂きたいと思います。宜しくお願いします。

小出さん:
はい、まず一番重要なことは、皆さんご存知だと思いますが、日本には中央構造線という巨大な活断層が存在しています。
つい先日、熊本、大分の辺りで大きな地震が頻発したのですけれども、それも中央構造線の一部が割れて動いたが為でした。
伊方原子力発電所というのは、佐多岬という愛媛県から九州に向かって伸びている細長い半島の付け根に立っています。
その佐多岬というのは、日本一細長い半島と呼ばれているのですが、長さが35キロから40キロぐらい。
一番太い所でもたぶん5キロはないし、一番細い所は1キロもない。
北側が瀬戸内海、南側は宇和海という海なんですけれども、ほんとに細長くて、山が海に突き出しているというそんな地形なんですね。
その佐多岬のすぐ北側に、中央構造線が走っている、ということが既に分かっているのです。
ですから、先日の熊本、大分で起きた地震がもう少し東側に動いてきて、地震を起こすとすれば、
伊方原子力発電所のほんとの目の前で地震が起きてしまうという、そういう場所に原子力発電所が建っています。

おしどり:
はい。でも、こんな危険な立地条件の中で、地震と原発の、また東日本大震災と同じような複合災害が起きたらどうなるんでしょうか?

小出さん:
まず、人々は逃げられないです。
佐多岬全体には、たぶん5千人近い住民の方がお住まいだと思いますけれども、付け根の伊方原子力発電所で事故が起きれば、
もうそこの前を通って戻ることができないわけですし、そうなれば岬に閉じ込められる。
もし、逃げることができるとすれば、船で九州の佐賀関に向かって逃げるということぐらいしか出来ないのですが、
海というのはしけてたら、もう船も出せないわけですし、地震が起きて津波が来るような状況であれば、
もうとうてい人々は逃げられないと思います。

おしどり:
そんなような状況の中で再稼働されたんですけど、避難対策は万全でしょうか?

小出さん:
非難計画なんて出来る道理がないわけであって、その事は、もちろん原子力規制委員会は初めから知っていたのです。
その為、新規制基準というのを作りましたけれども、新規制基準では非難計画については、
全く知らないということになってしまっているわけです。
もちろん規制委員会が避難計画をちゃんと審査しようとすれば、日本国内で合格できるような立地点は、
たぶん伊方も含めてどこにもないと私は思いますので、
規制委員会としては「もう自分は知らない」「自治体が勝手にやれ」ということにしてしまったわけです。

おしどり:
でもね小出先生、規制委員会その「非難計画に責任は持たない」と言いながら、原発事故の後の福島県に対しての帰還の制作に関して、
田中俊一委員長は「規制委員会でも出来ることがあったら協力する」と言って、原発事故の住民の帰還については物凄く動いてるんですよね。
規制委員会は。あれって。

小出さん:
そうなんですか?

おしどり:
はい、そうなんですよ。だから……

小出さん:
私は先程も聞いて頂いたように、原子力発電所の事故が起きた時には避難計画もちろん必要だけれども、
もっと必要なのは、避難を実行した後に人々の生活をどうやって支えるかという、そういう計画をつくらなければいけないのです。
でも、福島の事故から既に5年半も経ってしまいましたけれども、避難自身も上手くいかなかった。
そして、一度流浪化させられた人々は未だに故郷に戻ることもできないという、そういう状態になってしまっているわけです。
全ての意味で日本の原子力は失敗したと私は思います。

おしどり:
伊方原発が再稼働しなくても、四国電力の四国の夏の電力需給は安定してますよね?

小出さん:
もちろんです。日本中どこの電力会社も原子力発電なんか動かさなくても、完璧に電力供給に支障はでないわけです。
特に、四国の場合には十分な余力がありますので、今年の夏も全く困らない状況で乗り切っています。

おしどり:
そうですよねえ。四国は、太陽光とかバイオマスとか再生可能エネルギーの大きな可能性があって、
高知県の梼原町っていう所に私一度行きたいんですけど、あそこ風車を作って風力発電をよく四国電力に売電して、
もう次から次へと太陽光とか地熱とか水力発電とかやっていて、地産地消のエネルギーの需給率100パーセントを目指してる街。

小出さん:
はい、梼原町はもう昔からそういう方向で、自分達の街づくりをやってきました。
他の街でもそういう方向で動いてる街もたくさんありますので、四国はやる気になれば容易なことだと私は思います。

おしどり:
そうですよねえ。その四国にわざわざ伊方原発の避難計画がないのに動かすっていうのは、なんかもうほんとにおかしな話だなあと。

小出さん:
そうですね。原子力っていうのは、もう昔から本当におかしな事ばっかりでした。

おしどり:
そうですねえ。でも、たぶん原子力に限らず、原子力は特にですけど、一地域の問題じゃなくて、日本全国とか、そして世界に関係することなので。

小出さん:
はい、おっしゃる通りだと思います。

おしどり:
はい、四国電力や伊方の問題ではなくて、いろいろ私達ももっと調べて考えて、おかしい事があったら「おかしい」って怒っていきたいと思います。

小出さん:
はい、ありがとうございます。ご活躍ください。

おしどり:
小出先生もありがとうございました。

小出さん:
はい、こちらこそ、ありがとうございました。