西谷文和:
今中さん、今日はですね「トラブル続き棟土壁の汚染水対策の効果について」と題してお話を伺いたいのですが、
まず、ちょっとお聞きしたいのはですね、何故ここまで地下水が、
この福島第一に流入するのかという根本的な原因についてお伺いしたいのですが。

今中哲二さん:
私も最初よく知らなかったから、地下水が沢山出るんで驚いたんですけども、
もともとあそこの地形というのは、崖のような高台になってるとこを削って造ったんですよね。

西谷:
そうですよね、地形に問題がある。はい。

今中さん:
もともとさら地に近いような所を掘っちゃったんで、周りから水が流れてくるような所を掘って原発を据えたということらしいです。
建設当初から、ですから地下水問題は大変だったということを後から調べたら出てきました。

西谷:
なるほど。造ってる時から、もう地下水が溢れるような土地だったと?

今中さん:
そうですね。事故の前からでも、その原発には地下水が沢山入ってくるということが問題だったんだと思いますよ。

西谷:
これ、吉井英勝(よしいひでかつ)さんという元衆議院議員の方から聞いたんですけど、
結局、高台にあった。
それを削って、東電の福一だけ低くした。
それは何故なんかと言うと、その海水で原子炉を冷やさなあかんから。

今中さん:
冷却水として海水を使うのに、高い所だったら電気たくさん食っちゃうから。

西谷:
ポンプアップ代が?

今中さん:
はい。

西谷:
これメチャメチャせこい理由でですね、私なんか。

今中さん:
はい。

西谷:
それでケチった為に低い所に持って来て津波にあったわけでしょ?

今中さん:
はい。それは女川原発ありますよね?

西谷:
女川、はい。

今中さん:
女川原発は福島よりも、この前の地震の震源に近かったんですけども、
あそこ女川は出来るだけ高くしようということで、津波の被害をなんとかかろうじて免れたという事情はあります。

西谷:
そうだったんですか。30メートル、40メートルある高台の上に建てておけば、津波は10メートルちょっとですから、
この事故はなかったということになりますよね?

今中さん:
そうですね。と同時に、津波に対する警戒をちゃんと考えてれば、容易に防げることが出来た事故だったという風に私は思ってます。

西谷:
非常用電源も地下に置いてましたもんね。

今中さん:
はい。

西谷:
だからもうミス続きだと思うんですけど、本当にミス続きの東京電力なんですが、
この事故の最初の時点で、これ地下水が溢れることは分かっていたわけですから、例えば鉄板で仕切るとかですね。
それは、何故しなかったんでしょうか?

今中さん:
はい、私、東電のこの間の5年間のやってる事を見ると、常に楽観的。楽観的な対応をしてるんですよね。
これで何とかなるだろう、何とかなるだろうと。

西谷:
何ともなりませんよね。

今中さん:
何とかならないと言うんで。
それでね、私自身、原子力学をやった人間ですけども、原子力工学のスピリットというのは常に最悪の事態を考えて対応すると。
なんかそのスピリットを全く感じなかったですねえ。

西谷:
これ危機管理の鉄則ですよねえ。
常に最悪のことを考えて予防、予防していくっていうのはねえ。

今中さん:
ええ。これで何とかなるだろう、何とかなるだろうって言うんで裏切られた結果が積み重なって、
まさに棟土壁もその最たる物ですよねえ。

西谷:
でも、その何とかなるだろうで、福島の人はどれだけ不幸に陥ったかということですよねえ。
それでですね、先生ね、当初はこの2015年度中だったんですけど、
今年の3月末にやっと始まって、始まったら2カ月後に凍っていないという、この凍土壁。
これ散々な問題ですよねえ。

今中さん:
ええ、そんなもん最初から分かってる話だと思うんですけども。

西谷:
やっぱり分かってたんですか?
凍らないというのは分かってたんでしょうか?

今中さん:
だから、2年前ぐらいですかねえ。
これさえやればちゃんと凍りますと言ってたわけですけれども、それを事実と考えて、キチンと分析すれば、
「ああ、ここには配管があるし、ここには溝があるし、これもひょっとして上手くいかないんではないか」
という事を考えながらやってもらわなきゃ。

西谷:
国の税金345億円が投じられたということなんですねえ。
そして、これから凍らせる電気代とかランニングコストが年間十数億円。

今中さん:
そうですね。超えるとか言ってましたね。

西谷:
これうがった考え方なんですが、こうやって年間のランニングコストとか工事費が高くなると、造ってるゼネコンは儲かりますよね?

今中さん:
そうですね。なんか除染でも似たような話がありますけども。はい。

西谷:
例えばですよ、これ小出先生もおっしゃってたんですが、
「もう水で冷やすのを止めたらどうか」って、こういう意見があるんですがどうなんでしょう?

今中さん:
これね、東電なり廃炉の側で、もしそれが可能だったら是非やりたいと思ってると思います。
ただ冷やすのを止めたら、今度は温度が上がりますから、まだ発熱してますんで。

西谷:
ああそうか、まだ崩壊熱を出してるということですよね?

今中さん:
そうです。100キロワット~200キロワットぐらいの間ありますんで。
デブリ、いわゆる溶けた塊がどういう風な状態になってるか。それによりけりなんですよね。

西谷:
でも、その燃料デブリの形さえ、今分からないわけでしょ?

今中さん:
そうです。チェルノブイリは前も申し上げたかもしれませんけども、ある意味、冷えて固まったんですよね。
それ、下に広い部屋があって、そこから空気の流れがおきて、たぶん空冷状態で固まったんだと思われます。

西谷:
なるほど。地下の冷えた風が吹いてきて。

今中さん:
はいはい。福島の場合、そういった構造になってませんから、水を全部抜いちゃったら、また温度が上がっちゃって、
そして、温度が上がると放射性物質がまた飛散したり揮発しますんで、また大変なことになり兼ねないと。

西谷:
だから、しばらくは水で冷やさないといけないという、そういう事ですか?

今中さん:
そうですね、はい。
その水がですね、ちゃんとクローズドの、要するに密閉のサイクルになってればいいんですよ。
でなくって、原子炉にですから、デブリの分に水を入れますよね。
それで汚染された水が、また他の地下水で流れ込んでくると、一緒になってタービン建屋の方に溜まってくると。
それを汲み上げて、また汚染水がどんどんどんどん増えてくるという構造ですよね。

西谷:
もうなんかねえ、要は器が割れてるから、やっぱり下へ下へ漏れていくんでしょうねえ。

今中さん:
そうですね、はい。
原子炉も割れてますし、建物も割れてますし。

西谷:
だから、水を入れれば入れるほど、地下水は汚染水になって。

今中さん:
私は、建物ひょっとして地震の前から割れてたんじゃないかと思いますよ。

西谷:
地震の前からですか!?

今中さん:
はい。いわゆるね、サブドレーンとかいう周りの地下水の水位を調べる穴があるんですけども、
それは、実は事故の前から掘ってあるんですよ。
ですから、地下水位が高いんで、建物の中に漏れたりするのをずーっと監視する為に、そういうシステム持ってたんだと思います。

西谷:
そうなんですか。という事は、事故で決定的な破損があったんだけれども。

今中さん:
決定的なダメージ受けたんだと思いますけど。

西谷:
事故前からもう地下水が流れ込んでいて。

今中さん:
そう。ですから、タービン建屋なり何なりとうのは、最初からひび割れなり何なりあったんではないかなあというのが、私の勘繰りです。

西谷:
はい、分かりました。
もう本当に、この対策は待ったなしですが、東電が後手後手に回っていて楽観的な結果、被害が大きくなってるということがよく分かりました。

今中さん:
そうですね、はい。

西谷:
今中先生、どうもありがとうございました。

今中さん:
はい、どうも。