アーサー・ビナード:
今日は、チェルノブイリから福島へ「風しもの村」原画展 貝原浩が残したチェルノブイリスケッチが開催されていました、
東京江古田のギャラリー古藤でのインタビューをお届けしています。

さて、この後はライトアップジャーナルですが、今日はせっかくですからギャラリー古藤からお送りしましょう。
飛び入りゲストもお迎えしましたよ。
ライトアップジャーナル、引き続き東京の古藤という画廊からお伝えしたいと思います。
今日は貝原浩さんの絵を見に来た原きよさんも、ここで飛び入り参加でお願いしたいと思います。

原きよさん:
はい。今日、こういうギャラリーでやっていると聞いて、是非、貝原さんの絵を見たくて来たんですけども。
私、大分出身なんですね。
今、大分と熊本の地震があっていて、その中でずっと怒りを思っているのは、どうして川内原発止めないんだろうっていうのはずっと思っていて。
今回、その思いもあったので、是非、この絵を見たくて来たんですね。
「なんでなの?」っていうのが率直に本当にアーサーさんに教えてほしいんですよ。
何かがあってからじゃなくって、何かがあったら困るから止めるでしょって普通思いますよね?

アーサー・ビナード:
思いますよね。

原きよさん:
でも、異常なしって、さらさらっとアナウンサーがコメントとして、それを何回も繰り返し言うし、
テロップでぽろっと異常ないのでそのまま稼働みたいな。いやいや、違うよねって。どうしてなんですか?

アーサー・ビナード:
それこそ、異常ですよね。

原きよさん:
それが異常なんですよ。

アーサー・ビナード:
全く異常です。僕は、アメリカに生まれ育って、僕の故郷のミシガンにも原発があって、今、母親がいるトリドールにも原発があるし、
妹がいるカリフォルニアにも原発がある。
だから、僕の故郷と、今、日本列島とは、その意味では同じ風しもの村なんだけど。
ただ僕の故郷のオハヨーとミシガンと大きく違ってるのは、日本はしょっちゅう揺れるんですね。
僕、日本に来て、初めて地震を体験した。
こんなにしょっちゅう揺れるっていうのは驚きだったんだけど。
何年か経ってから、「えー! こんなに原発がこんなにあるんだ。うそだろ」っていう。
これ、アメリカの友人、知人、家族にしてみれば、「頭おかしいだろう。何考えてんだ」って言って、僕に抗議の電話がかかってくるんですよ。
「なんでやねん!」って。
だから、海外から見たら、これはもういかれちゃってる国家っていう風に、たぶん見られると思うんだけど。
ただ、安部ちゃんの身になって、麻生ちゃんの身になって、珠代ちゃんの身になって、それで担当大臣の身になって、
日本の企業原発群さん複合体みたいに束ねてある巨大な組織の側に立ってみると、彼らもちょっと必死なんだよね。
何に必死かって言うと、原発を日本で増やすの無理。
すると注文はないんですよ。
じゃあ、注文ありうるのは海外だよな。
だから、一生懸命トップセールストップセールスと称して、本当は下っ端セールスなんだけど、行っていろいろ売り込んでるんでしょ。
でも、原発みたいな高い品物を海外の他国に売る為には、立派なモデルルームが必要なんですよ。
まず、自分の所でちょっと動かして揺らして、「大丈夫だ。大丈夫だ。あはっはっはっはー」って、なんか証明しなきゃだめなの。

原きよさん:
もの凄くアピールできる今、止めちゃだめなんですね。

アーサー・ビナード:
そうなんですよ。だから、彼らにとっては、これは、絶対今止めたらセールスがだめなの。
これはピーアールですよ。
だから、今、薩摩川内は、日本の原発海外輸出モデルルームなんですよ。

原きよさん:
ただ、どうしてそんなに頑なに動かしてアピールしたいのか?
それが、その先を考えると凄く怖いのは戦争。そこかなぁ。

アーサー・ビナード:
そもそも原子炉っていうのは、なにも電力関係ないですよ。
プロトニウム作り機だから、長崎の原爆、ニューメキシコの原爆、セミパラチンスクの原爆、マーシャル諸島の原爆、
みんな原子炉の原料作りから始まってるので。
そういう本質的な繋がりをちゃんと踏まえて、それで僕らがどういう風にだまされてるか見抜かないとね。

原きよさん:
今回ちょうどね、全国でピースリーディングというのが行われていて、
なんと今、ちょうどその放送がその時期にあたっているということで、いいタイミングだなあと思って。
是非、私も参加したいなと思いまして。
1つこの後、音楽をかけて頂きたいと思うんですけども、この後、詩を読ませていただきたいんですけど、宜しいでしょうか?

アーサー・ビナード:
ピースって言うとね、いろんなその組み合わせで使われることがあるんですけど。
1953年12月8日、パールハーバーに合わせて、アイゼンハワー大統領が国際連合の総会で「Atoms for Peace」という演説をうつんですよね。
それが、後に日本語に翻訳されて、原子力の平和利用ということになるんですけど。
「Atoms for Peace」が元なんだよね。
だからピースって言った時に、「Atoms for Peace」なのか「Peace for Peace」なのかって、すごくそこは大事なポイントになるけど。
この「青い空は」?

原きよさん:
平和を願って、「Peace for Peace」で。

「青い空は」
青い空は、青いままで子供らに伝えたい。
燃える8月の朝、影まで燃えつきた父の母の兄弟達の命の重みを肩に背負って 胸に抱いて。
青い空は、青いままで子供らに伝えたい。
あの夜、星はだまって連れ去って行った父の母の兄弟達の命の重みを 今流す灯籠の光に込めて。
青い空は、青いままで子供らに伝えたい。
全ての国から戦の火を消して、平和と愛と友情の命の輝きをこの固い握手と 歌声にこめて 歌声にこめて。

アーサー・ビナード:
「青い空は」新垣勉さんの歌でお届けします。

アーサー・ビナード:
その爆発したチェルノブイリの4号機の原子炉のいわゆる石棺、被せたそのコンクリートの絵がありますよね。

原きよさん:
朗読をしてますので、この書かれた文字がすごく印象に残って、
やっぱり、絵と共に、この何かを伝えていこうとしていたっていうのが、アーサーさんの話にもありましたけど、ありますよね。

アーサー・ビナード:
読みやすい字ですよね。

原きよさん:
読みやすい。すごくかわいらしい字でね。アーサーさんもこの石棺のとこに書いた言葉がすごく印象になります。
ちょっと読んでみてもいいですか?
ほとんど初見な感じになりますけど。

5月、澄みきった空を切り取る方形のシルエット。
事故後、建物をすっぽりコンクリートで覆い「石棺」と名付けられたチェルノブイリ原発4号炉。
中の炉は、未だその働きを止めることなく、活動は続いている。
高濃度の放射性物質は壁を突き抜けて、大気にまき散らされている。
新たな爆発さえ危険視されている現在、この石棺に更に大きな建物で蓋をしてしまおうという案が検討されている。
既に、この石棺でさえ、自らの重みで徐々に沈み始め、むき出しの壁は溶け出した鉄筋のサビで赤くまだらに染まっている。
ありとあらゆる知恵と金をもって今の状態から抜け出ねば、私たちの享受する一切の文化・文明生活なんぞ、
一体何になるか。
時代がまだあると考えるなら、原発の起こした惨事が決して他人事でなく、
まさしく日常に隣り合わせに潜む私たち共通の悲劇です。
毒にも薬にもならないオリンピックのメダルなぞに声をからすな。
知恵を出せ。金を出せ。人を出せ。頑張れ。日本。

アーサー・ビナード:
頑張れ日本だよ。

原きよさん:
体が熱くなりました。

アーサー・ビナード:
頑張れ日本。何考えてんだ。ほんとに。