電話インタビュー:今中哲二さん(京都大学原子炉実験所研究員)


矢野宏:
今中哲二さんと電話が繋がっています。今中さん?

今中哲二さん:
はいはい、こんにちは。

矢野:
よろしくお願い致します。

今中さん:
こちらこそ。

矢野:
原子力規制委員会は関西電力大飯原発3号機4号機の審査書案を了承し、新規制基準適合へと・・・

今中さん:
そうみたいですね。

矢野:
はい。新規制基準の適合と判断しましたね。

今中さん:
はい。

矢野:
これでまた原子力事業者というのは、当然のように再稼働へと走り出すと思うんですが。

今中さん:
そうですね。
なんかイケイケドンドンの感じになってきて、
私からしたら、原子力規制委員会というよりも原子力再稼働委員会のような気がしてきましたねえ。

矢野:
本当ですね。
この大飯原発に関しては、前の規制委員会の委員長代理の島崎さんが、関西電力のその出してきた計算に対して、
「これ過小評価されてるぞ」ということで、ちょっと待ったをかけたんですね。

今中さん:
そんな話ありましたね。はい。

矢野:
にも関わらず、今回認めたということで。
この新しいその規制基準なんですけれども、なんか曖昧なのかなと。
今中先生おっしゃる通り、本来ならそのブレーキ役なのに、なんかアクセルをふかしてるような感じしますよねえ。

今中さん:
はい。
原子力をすすめる時の考え方としては、
だから出来るだけ危ない側危ない側に考えていくというのが本来原則なんですよね。
という意味では、そういう意味では島崎先生のおっしゃる話に採用していくというのが、
本来のあるべき姿なんでしょうけども。
結局、なんだろう?
原発を運転するかどうかというのは、サイエンスというよりも工学的な問題、政治的な問題になってくるわけですよね。

矢野:
そうですねえ。

今中さん:
田中俊一委員長がおっしゃるように、新規制基準に通ったからと言って、原発が安全なわけじゃないんですよ。

矢野:
そうですね。それおっしゃいましたね。これ。はい。

今中さん:
だから、どこで線を引くかという話ですよね。
だから、その辺の線の引き方が科学的サイエンスと言いながら、
その時の政治状況なり何なりで少しずつ変わってるんだろうなっていう気がしてます。


矢野:
結局は最後に決めるのは、この電力会社ということになるんじゃないですか?
これは。

今中さん:
電力会社もありますし、結局、政治の流れですよね。はい。

矢野:
それにしても関西電力というのは、保有してる原発っていうのは11基あって、
今回、適合が認められたのは7基あるんですよね。
次から次に再稼働に向かって行ってるんですけれども、
この辺りの裏の話と言いますか、関西電力はなぜ必死になってこう行ってるんでしょう?

今中さん:
ただね関電さんだって、別に原発が動かなくっても一応、黒字になってるわけですよね。

矢野:
そうですよね。

今中さん:
はい。それで、日本全体として我々普通の人は、別に原発無くても全く困らないんですよね。

矢野:
はい。そうですよねえ。

今中さん:
それで、原発動かなくても関電特に困らないんだろうけども、「原発を止めた」と言ったら困るみたいです。

矢野:
止めたら?

今中さん:
はい。
東芝じゃないですけども、原発という所謂、資産価値のある物がゼロになり負債になっちゃいますから。
そうすると、帳簿上というか所謂、何だろう?
債務超過みたいな話になって会社が成り立っていかなくなるとか、そういった問題もあるみたいです。
私、詳しいことは知りませんけども。はい。

矢野:
原発は動かさないと、もう資産価値が無くなるわけですよね。

今中さん:
そうですね。止めたと言った途端に。

矢野:
はい。今中先生、今回の適合で私一番心配しているのは、高浜1号機と2号機。
そして、美浜3号機なんですけれども、これ運転開始からもう40年ぐらい経ってますよね?

今中さん:
そうですね。はい。

矢野:
これ大丈夫でしょうか?

今中さん:
はい。ですから、規制庁ができた時の考え方というのは、
「やっぱり古いやつヤバイやつはどんどん止めていこうね」という考え方で、
「どんどん日本としても原発を減らしていきますよ」という方向だったと思うんですよね。

矢野:
はい。

今中さん:
あの民主党の時代には。

矢野:
そうでしたよねえ。

今中さん:
それが、やっぱり自民党 安倍さんに戻っちゃって、
「やっぱりこれからもやっていくんだ」という所に規制委員会も乗っかっちゃってるし、
原子力村もその辺で復活してきてるということだと思いますよ。

矢野:
なるほど。何とかこれ、まだ福島原発のその事故のその原因すらキチンと分っていない。
そして、8万人近くの方が故郷を追われてるわけですよね。
こうした現状を無視してまで再稼働に走っていく、この政府っていうのは何なのでしょうねえ。

今中さん:
私ね、ちょっと別の話ですけど、ちょっと気になってるのは北朝鮮の方からミサイルが飛んできましたよねえ。

矢野:
はい。

今中さん:
あれ、能登のすぐ近くなんですよ。
それで、日本でも原発いっぱいそこらじゅう作っちゃったら、何と言うのかな?
「この前のミサイルは在日米軍基地を狙ったんだ」というような事を言ってましたけど、
下手したら原発も狙っちゃうぞという話になりかねないなあということでは、
やっぱり弱みは作らない方がいいんだろうなと思いますよ。

矢野:
そうですよね。

今中さん:
はい。

矢野:
そういった時のためにも、その何とかこの原発というのは、
この再稼働をなんとか止めなければいけないと私は思うんですけれども。
なかなか今、政府はそういうことではなくって。

今中さん:
そうですね。やっぱり、我々がなんとかして止めていかなきゃいけないんだと思います。

矢野:
ねえ。この原子力規制委員会のこの審査は結局、誰のために何のためにやってるのか、
ほんとに不思議な。

今中さん:
だから、原子力規制委員会ですか。
結局、世の中の流れを見ながら、それに合わせたということだと思いますから、
やっぱり最終的には政治を変えていかざるを得ないんだろうと思います。

矢野:
なるほど。分かりました。
やはり、最終的には私達の命、その健康を守るためには、その政治を変えていかなければいけないということですね。
その為には、やっぱり私達はこの諦めることなく、声をあげ続けることが大事なわけですね?

今中さん:
そうですね。はい。

矢野:
分かりました。今中さん、ありがとうございました。

今中さん:
はい。どうも、こちらこそ。