電話インタビュー: 今中哲二さん(京都大学原子炉実験所研究員)
パーソナリティ: 矢野宏

矢野:
福島県で四月末に発生した山火事は12日間かかってようやく消し止められました。現場は浪江町と双葉町にまたがる山。東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域であったこともあり、インターネット上では放射性物質が飛び散っているといった情報が飛び交いました。これらは事実なのか、県や街の危機管理は、情報発信は、適切だったのか今中さんに伺います。今中さん、よろしくお願いします。

今中さん:
はい。

矢野:
ネット上では火災が起きれば花粉が飛び散るようにその放射性物質も飛び散るんだとか、山火事によってより濃度の高い放射性物質が飛び散って被曝したんだという情報が飛び交っていました。この事実関係はどのように考えれば良いのでしょうか。

今中さん:
えーっとですね、汚染自体はかなりの汚染ですよね。汚染地域に山火事があったら、そりゃあ放射能が煙と一緒に飛び散るというのはごく当然な心配ですよ。チェルノブイリでもちょくちょく山火事というか森の火事が起きて、大変だと聞いていますから。

矢野:
しかし、福島県はですね、測定の結果を連日公表していたのですけれども、4箇所のモニタリングポストに大きな変動はないといってましたけど、これは嘘になりますかね?

今中さん:
嘘とは言い難いけど、私も気になって火事が起きたぞという県のホームページとかをずっと眺めていましたけれども、まずですねモニタリングポストの値が上昇するくらいだったら、これはもう大変な濃度の煙が来てますよ。というかもともとそこら中モニタリングポストを置いているところは汚染だらけな訳ですよ。

矢野:
高い訳ですね、数値が。

今中さん:
そうです。それがもしもまた上がるようなことがあったら大変だということになります。それとですね、山の中腹かなんかで火事が起きている訳ですけれども、テレビ等でもありましたが、結局煙が流れていく方向なんですよね。浪江町にね、アメダスの観測ポイントがあるんですけれども、そこのデータなどを眺めるとどうもモニタリングポストの方向とはむしろ逆の方に流れた煙が多いですね。

矢野:
なるほど。4箇所あったモニタリングポストとはまた違う方向に流れていった訳ですか。

今中さん:
そうです。それと同時にエアサンプラーといって空気をフィルターにかけて濾しとってそれを測る測定をしているんですけれども、それは上がっていますよね。それも不思議なんですけれども、火事が終わって一番最高値が出ているのが5月12日なんですよ。25ミリシーベルトというのがどっかの公民館あたりで出ていまして、なんかちょっと話が合わないなあという気がしまして結局煙がそのまま来たというよりも、そこら中ぐるぐるっと溜まっていたものが来たという感じですね。ですからあの時に大事なのは、煙が流れている方向で放射線を測るなりエアサンプリングをすることで、どこが高いかっていうことが分かるんですよね。それで私がデータや資料を眺めて見て感じたのは、これはやっぱりスピーディーの出番だと。

矢野:
あっ、スピーディーの出番ですか、こう言ったときに。

今中さん:
覚えていらっしゃいます?

矢野:
ええ、覚えています。

今中さん:
要するに雲がどっちに流れるかを予測するというやつで、結局事故の時は役に立っていなかったと言われていましたけども、ああいう山火事の状況では煙がどっちに流れるかというのはゆっくりと予測できますから。本当にあれは宝の持ち腐れですよねえ。数百億円というお金をせっかくかけたのに、こういったときこそねえ。あと何箇所かでもエアーサンプラーで数字が出ているんですけれども、1㎥あたり25ミリベクレル、これが最高ですよ。それはそこにいる人はマスクしたほうがいいですよというレベルです。

矢野:
これは高い数値ですよねえ。

今中さん:
私どもは飯館村なんかでずっと測ったりしてるんですけれども、飯館村で普通で1㎥あたり1ミリベクレルいきませんから、それの10倍、20倍いったらやっぱり気になりますね。ですからそういう状態でそれですから、煙が流れた所というのはそりゃあもっと強かったんです。

矢野:
なるほど。

今中さん:
それと一番気になっているのは、やっぱり消防士さんと自衛隊の人がどれぐらい被曝したのか。それはちょっと気になっているんで明らかにしてほしいですね。

矢野:
そりゃあそうですよね。消火活動に当たられてどんな被曝をしたのか心配ですよねこれ。福島第一原発の事故から6年過ぎても終息がままならないという、これがもう実態なんですねえ。

今中さん:
そうですね。それはもう発電所そのものの問題は置いといても我々は放射能汚染と30年、50年、100年と付き合っていかなければならない訳ですから、我々自身が放射能・放射能汚染についてよく理解して自分達が数字から判断できるようになっておく必要があるんだろうと思いました。

矢野:
なるほど、わかりました。今中さん、ありがとうございました。
以上、”Light up! ジャーナル”でした。